このコラムではたびたび、バナナやパパイアなど南方の果物について書いてきました。 [193]バナナよ、わが身に迫る危機をどうする (2015年12月10日) [371]人気出るか、1本千円の国産高級バナナ (2017年03月24日) 筆者の住む東京西部の多摩地区では、ご近所の農家がバナナの路地栽培を試みていますが、放任主義のためかやる気がないのか、いまだバナナの大房にはお目にかかったことはありません。 それどころか、夏の終わりには3メートル近くまで成長するバナナの木も、霜が降りるとともに黒く立ち枯れてしまいます。 日本では沖縄以外にバナナの栽培は無理なのでしょうか。 そんな疑問にチャレンジし続けて、ついに成功を収めた団体が現れました。 バナナ・パパイアの国産化技術、広島の法人確立 広島県福山市内の一般財団法人が、バナナやパパイアなどの熱帯の果物を国内で生産できる技術を確立、輸入に頼っている作物の国産化を目指している。 完全無農薬で栽培し、耕作放棄地などの有効活用も狙う。 今年3月に設立された「ASCO(アスコ)」(福山市引野町南)。代表理事の田中節三さん(68)は、子供の頃からバナナが好きで、国内での栽培法を数十年にわたって研究。たどり着いたのは「凍結解凍覚醒法」だ。熱帯植物が氷河期の環境にも耐え、生き延びてきた事実を踏まえ、熱帯植物を氷河期環境に戻し、温帯地域で発芽、培養すれば順応するのではという発想だ。 (YOMIURI ONLINE 2017年12月6日掲出) より詳しいレポートはこちら 食卓からバナナが消える? 世界的なバナナ危機に挑む、 熱帯産作物国産化を目指した驚きのバイオ技術 (A SUSTAINABLE FUTURE・ヤンマー 2017年8月23日掲出) ※こちらは筆者が育てている一般的な三尺バナナ 「凍結解凍覚醒法」とは、なんだかすごそうな技術です。 熱帯の植物にも寒さに順応する遺伝子が備わっていて、しかもそれは地球の氷河期に培われたものらしい。それを覚醒させるのが、この技法のようです。熱帯植物のDNAにはながい地球の歴史が刻み込まれていたということでしょうか。 皮まで食べられる無農薬の国産バナナ、「岡山もんげーバナナ」もこの技術で誕生したそうです。 この凍結解凍覚醒法を開発した財団は、広島県内で行ったバナナの露地栽培でわずか半年で実がついたと発表しています。冬になると立ち枯れるバナナを見てきた筆者としては驚くほかありません。 結局は、人も植物も温室でぬくぬくと育てていては、ものにはならないのかもしれません。 ただし、天気は気まぐれです。温暖化が叫ばれる東京でも、昨年は11月に初雪が降りましたから、油断は禁物。日本で越年させて豊かな実りを得るには、肥料や培養土の他、台風や積雪から守るビニールハウスも用意されています。 厳しく育てるにしても、くじけない程度の心配りは必要なようですね。(水) ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ■関連リンク 一般財団法人ASCO 公式サイト https://www.asco.or.jp/ --------------------- 「できる!」ビジネスマンの雑学 ジャンル別 --------------------- 〇ニュースを読む 〇出来事 〇本・雑誌 〇IT関連 〇旅 〇食と料理 〇教育 |
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