脳卒中はがんと心疾患と並び、日本人の3大死亡原因であり、年間11万人以上の方が、脳卒中で亡くなっています。 急に言葉が出なくなる、からだが思うように動かせなくなる、突然意識を失い倒れる、などの症状に陥った人の話は、誰しも耳にしたことがあるでしょう。 脳血管疾患の死亡数は年間11万1,973人 (一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 2016年10月13日掲出) 脳卒中には血の塊、血栓が脳の血管を塞いで血液が流れなくなった場所が壊死する「脳梗塞」、脳の血管がやぶれて脳内に血液が流れる「脳出血」、脳の周りにあふれた血液が脳を圧迫する「くも膜下出血」があります。 いずれも会話や身体運動に障害が残ったり、時には命の危険に及ぶ脳の病気です。 その重篤な結果をもたらす危険性にもかかわらず、外傷のような出血や痛みなどの自覚症状がないため、バタリと倒れるまでは放っておかれることの多い病気でもあります。 現代医学では、脳梗塞の治療法としては、血管を詰まらせている血栓を溶かす新薬が開発されており、一刻も早く(理想的には3時間以内)こうした治療を受けることが肝心のようです。 ではこれまでわたしたち人類は、脳の病気にはまったくの無防備だったのでしょうか。 いえ、驚くほどの対策がわたしたちの体にはほどこされていたのです。 頭骨と脳を結ぶ「秘密のトンネル」が発見される :脳障害時に免疫細胞を送り込む経路 米国の研究チームはこのほど、頭骨と脳を直接結ぶごく小さなトンネルが存在することを発見した。脳卒中などで脳が損傷を受けたときに免疫細胞を迅速に送り込む経路とみられ、これまでそのルートは知られていなかった。 ハーバード大学医学大学院のマティアス・ナーレンドーフ博士が率いた研究で、研究を助成した米国立衛生研究所(NIH)が発表。神経科学分野の学術誌「Nature Neuroscience」に論文が掲載された。 NIHによると、医学界では従来、腕や脚の骨の骨髄で作られた免疫細胞が血液を介して移動し、損傷した脳細胞に送られると考えられていたという。 (NEWSWEEK日本版・高森郁哉 2018年9月4日掲出) ひとたび脳がダメージを受けると、「秘密のトンネル」を通って、免疫細胞が緊急に送りこまれるそうです。 免疫細胞については、昨年秋から今年春まで放送された「NHKスペシャル 人体」でも取り上げていました。 「NHKスペシャル 人体 神秘の巨大ネットワーク」 (NHK総合 公式サイト) 体中の臓器、心臓、腎臓、胃、腸、そして骨までもが、それぞれが情報物質をやりとりして、協調して機能しているそうです。時には必要な免疫細胞を送りつけて、ウイルスやがん細胞を退治することまで行っているとか。 これまでの医学は、臓器はただのパーツだから悪い所は切って捨てましょう。必要なら人工臓器で代用できるはずという考え方があったように思います。 筆者の推測にすぎませんが、これまでの人体パーツ論から脱して、人体をネットワークの塊とみる視点が医学界に芽生えたことが、今回の発見につながったのではないでしょうか。 「秘密のトンネル」といわれて頭をなでてみても、何の自覚もありませんが、なんだかホッとしてしまいます。これからはこの秘密のトンネルの穴を塞がないよう、気をつけて生活したいですね。(水田享介) ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ■関連リンク 「脳卒中とは - 乗務員の健康管理サーキュラー」 (財団法人 航空医学研究センター 著・福島功二) --------------------- 「できる!」ビジネスマンの雑学 ジャンル別 --------------------- 〇ニュースを読む 〇出来事 〇本・雑誌 〇IT関連 〇旅 〇食と料理 〇教育 |
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