いま全国各地で郷土の偉人、伝説の人物を守れ、との声があがっています。 ご存じでしょうか。高校日本史の教科書から武田信玄、上杉謙信、坂本龍馬、吉田松陰など名だたる偉人達の名前が消え去ろうとしていることを。 山梨県の威信かけ高校教科書の用語削減案に「信玄の名消すな」の大合唱 「武田信玄の名を歴史教科書から消すな」「山梨が山梨でなくなる」。高校歴史教科書の歴史用語の半減案で、甲斐(山梨県)の戦国武将「武田信玄」らの削除が提案されたことに、山梨県内では不満が爆発している。NPO法人が約2500人分の反対署名を集めたほか、3月7日には後藤斎知事が文部科学省を訪れ、月末改訂の学習指導要領に「歴史用語の削減規定を設けないよう」直訴した。武田信玄は"歴史上"に名を残すことができるのか-。 (産経ニュース 2018年3月23日掲出) ※武田信玄と上杉謙信 川中島の合戦図 (「大日本歴史錦繪・西條山引坂之圖」・国立国会図書館デジタルコレクションより) かつては日本円の象徴であった聖徳太子(厩戸王)、皇居前広場の銅像で知られる楠木正成も小中学校の歴史教科書から消えた、もしくは消える運命と筆者は聞いています。 筆者は高校一年生の時に、歴史のなかの疑問は教科書では解決しないことを学んだために、あまりこの問題は重要視してはいません。 [017]中東の混乱を語る前に知っておきたい隠ぺいされた西欧史 「ベン・ハーは奴隷から兵士になったり政治家になったりしますが、身分がこんなにかわることって当時はできたのですか」 (世界史の)碇先生は困った顔のまま返事はしてくれなかった。 (「できる!」ビジネスマンの雑学 2015年03月23日掲出) ただし、郷土の誇りであり精神的なささえとなる地元の偉人が、教科書から消えると大きなダメージになる人も多いことでしょう。 信玄餅や信玄の隠し湯などの信憑性は失われ、松下村塾の青年達は存在せず、土佐では唯一知られた偉人がいなくなってしまいます。 歴史教科書の見直しを進める「高大連携歴史教育研究会」では、この混乱の発端は過剰なマスコミ報道にあるとして次のような発表をしています。 皆さまへのお願い 11月14日の朝日に「坂本龍馬などの有名な人名が教科書から消える?」といった刺激的な報道がされましたので、翌日にはTV朝日の朝の番組でも報道されるなど異例の反響を生んでいます。高大研の用語精選第一次案で約2000語に精選したのは、大学入試で出題される「基礎用語」で、他の用語を「発展用語」として掲載することを否定するものではありません。 (高大連携歴史教育研究会 2017年11月16日発表) 暗記の歴史学習から、考える歴史に。この言葉をモットーに歴史用語を少なくするのが目標だそうです。 しかし、西洋史観だけの世界史ではヨーロッパに都合が良いだけですし、明治維新前後の登場人物を削ってしまっては、なぜ幕末があんなに揺れ動いたのかわかるはずがありません。 歴史を考える科目に変えるなら、異論・異説をもっと収録するべきでしょう。ただ用語を削るだけでは、「考える楽しみを味わえる科目」(高大連携歴史教育研究会)への道は遠ざかるばかりではないでしょうか。(水) --------------------- 「できる!」ビジネスマンの雑学 ジャンル別 --------------------- 〇ニュースを読む 〇出来事 〇本・雑誌 〇IT関連 〇旅 〇食と料理 〇教育 |
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