世の中に出回る製品は、電化製品であれ工業機械であれ、どの分野であっても民生用(民間用)と業務用(プロ用)に分かれています。 たとえば、家庭で使うテレビや録画機がテレビ局や映像制作会社で使われることは、まずありません。家を建てるのに、大工さんがホームセンターで買える安価な電気工具を手にしていたら、ちょっとどころか大いに不安を覚えます。 調理道具にしても、板前さんが家庭用の菜切り包丁一本で、野菜だけでなく肉や魚もさばいていたら、お客はきびすを返して帰ってしまうでしょう。 いい道具でないといい仕事はできないし、プロのヘビーな仕事に耐えるには、しっかりした作りの道具は必要です。 ところが、その常識を打ち破って、民生とプロの垣根を超えた製品が存在します。 そして今年、ふたつの日本製品が、生産開始から一億台(個)という生産数を達成しています。 驚異の1億台 スーパーカブの秘密 ホンダのオートバイ「スーパーカブ」。そば屋の出前や郵便配達の、あのオートバイです。およそ60年前に生産開始。今月、ついに世界生産1億台を達成します。かの本田宗一郎氏が開発を指揮。スタイルも性能も、ほとんど変わらず、とっくに"往年の名車"になっていてもおかしくないオートバイが、なぜ今も現役で生き残っているのか。その秘密を探ります。 (NHK NEWS WEB/WEB特集 経済部記者 早川俊太郎 2017年10月17日掲出) Gショック1億個、伝説はたった1行の企画書から 始まりは20代の若手社員が出した、たった1行の提案。「落としても壊れない丈夫な時計」――。その1行が仲間を引き寄せ、会社を動かし、のちの大ヒット腕時計「G-SHOCK(ショック)」を生んだ。1983年4月に発売したGショックは2017年8月末の時点で、世界累計1億個を出荷するロングセラー商品になっている。 (NIKKEI STYLE/ヒットの原点 2017年10月19日掲出) スーパーカブは郵便配達や出前などでおなじみのバイクですね。毎日の配達仕事にプロが乗っていますから、スーパーカブは業務用といえます。しかし、通勤やちょっとした足代わりに一般にも使われています。当時のホンダが頑丈な業務用オートバイと銘打って高額で売り出さなかった所に、先見の明が光りますね。 ベトナムではこのスーパーカブに絶大な信頼を寄せていて、オートバイのことをベトナム語で「ホンダ」と呼ぶほどです。 筆者はベトナムに行った際には、必ずホンダ製の「ホンダ」を借りて乗ります。中古の「ホンダ」であっても本物のホンダなら、中国製の新品スクーターと比べても2倍のレンタル料です。それでもホンダ製を選びます。なぜならベトナム中どこでも「ホンダ製のホンダ」なら替えのパーツがあり、修理できる工員さんが必ずいるからです。 ベトナム人親子が一家そろってスーパーカブに乗っている姿は、実に微笑ましいものがあります。 ドライバーはお父さん。その足の間に子どもが一人。後ろの座席にお母さん。三人乗りでしょうか。 いえいえ、それだけではありません。 お父さんとお母さんの間に二人目の子ども。そしてお母さんの背中に三人目の子。都合5人乗りのスーパーカブも珍しいことではありません。 日本生まれの製品が海外で愛用されている姿を見ると、なんともいえずうれしくなります。 Gショックも工事現場などの過酷な労働環境で愛されたことから、一般にも商機が広がった、きわめてまれなヒットだったそうです。 長く売れ続ける商品があれば、企業としては大助かりですが、それを生み出すまでの苦心惨憺、売れ始めるまでの我慢など、いろいろな条件と幸運がそろわないといけないようです。 その幸運を呼び込めるスタッフが社内にいるかどうか、企業としても商品に試されているのかもしれませんね。(水) --------------------- 「できる!」ビジネスマンの雑学 ジャンル別 --------------------- 〇ニュースを読む 〇出来事 〇本・雑誌 〇IT関連 〇旅 〇食と料理 〇教育 |
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