21世紀となった今の世の中には、予想もつかない仕事があるものです。 先日のコラムでは都市が排出する家電ゴミから金やレアメタルを取り出せる都市鉱山(アーバンマイン)をご紹介しました。 [402]日本にあった!レアメタルの一大鉱脈 (2017年06月05日掲出) 今回はさらに先を行く、最もバーチャルな採掘のお仕事。 それは・・・、 ビットコインのマイニング(仮想通貨の採掘) 初耳のかた方にはどんな仕事か想像もつかない話ですが、 「仮想通貨のビットコインを買うのではなく、自分のパソコンで掘り出して収益をあげよう」 というお仕事です。 すでにご承知の通り、ビットコインはどの国にも属さない仮想通貨です。この通貨はネットワーク上ですべての取引記録を取引台帳に記録することで整合性が保たれています。その取引の整合性を保つためには膨大な計算が必要となるため、自分のパソコンで計算してもいいよ、という人を常に募集しています。 この計算作業に参加した人には、その成果に合わせて新たに発行されたビットコインで報酬が支払われるのです。 そのため自宅やオフィス、サーバーセンターなど世界中のどんな場所からでもこの計算に参加して、利益を得ることが可能なのです。 このお仕事は、ビットコインが誕生したころからありましたが、最近になって俄然、注目を集めることになりました。 その理由は、ビットコインの価値が急騰していることにあります。 ビットコイン・バブルで「採掘者」たちも大儲け ビットコインの高騰は留まるところを知らない。 1ビットコインの価格は過去最高を更新し続けており、5月25日の取引では2800ドル(約31万2000円)目前まで迫った。 1年前はわずか443ドル(約5万円)だったのが、ここ数カ月で急激に値を上げている。 ビットコイン・マイナーと呼ばれる、新たなビットコインを求めてマイニング(採掘)を行なっている個人や業者にとっては、うれしいニュースだろう。 ビットコイン・マイナーのマイニングインフラは、ビットコインの重要な要素だ。ビットコイン取引を行うために必要な計算に携わっている人は誰でも、ビットコインを「採掘」できるチャンスが得られる。 (msnニュース・BUSINESS INSIDER JAPAN 2017年5月29日) 筆者は3DCG(コンピューターグラフィックス)の仕事でビデオカード(GPU=Graphics Processing Unit)の最新動向を調べていた時に、このビットコイン・マイニングの人気に気が付きました。そろそろ価格が落ち着くはずのAMD RADEON RX570、NVIDIA GTX1060などのボードが、軒並み販売価格が上昇するか、在庫なしとなっていたのです。 そうなんです。マイニング演算は今やCPUではなく、GPUが担っているのです。 一台のパソコンにいくつものビデオカード(GPU)を接続して、モニターもキーボードもつながず、ひたすらGPUに計算をさせるこのマイニング。場合によっては一台に7~8枚のビデオカードを接続する猛者もいるとか。 そのため高速なGPUの買い占めまで発生しており、秋葉原では購入枚数の制限が始まっているのです。 マイニング向けにGeForce GTX 1060のまとめ買いが増加、購入枚数の制限を行うショップも 先日、マイニング需要の増加により、Radeon RX 580/570が入手困難になり、GeForce GTX 1060にも注目が集まってきているとお伝えしましたが、秋葉原の店頭では、17日(土)頃から一部のショップがGeForce GTX 1060に購入制限をかけています。 店頭告知を始めたのはドスパラパーツ館で、「1人3枚まで」という購入制限を設けています。また、店頭POPの掲示は行っていませんが、ツクモeX.パソコン館も1人あたりの購入枚数を制限しているほか、ツクモパソコン本店も「今の状況だと購入制限をかける可能性が高い」とコメントしています。このほか、購入制限はかけていないパソコン工房 秋葉原BUYMORE店やソフマップ 秋葉原 リユース総合館でも、「最近、まとめ買いが増えている」とのこと。 (AKIBA PC Hotline!・石橋 一衛 2017年6月17日掲出) では、ビットコイン・マイニングではどのくらい儲かるのでしょうか。それは設備の規模や演算能力、高速ネットワークもさることながら、電気料金という避けられないコストの問題が大きいようです。 冷却費用を減らすため極寒のアイスランドにマイニング専用センターを設けたおかげか、「現在の我々の利益率は20%よりもはるかに高い」(前出のmsnニュースより)と言う経営者もいるそうです。 日本で始めるならさしずめ、富士山麓の風穴か北海道といったところでしょうか。また電気代にコストがかかる日本では、太陽光発電システムを導入するのもいいかもしれませんね。 中国では牛飼いからビットコイン・マイナー(鉱夫)になった方も。 Bitcoin採掘の7割を中国が占め、元開発者が「実験は失敗だった」と表明 クオ氏によると、家族が牛を育てる牧場を経営していて、お金が貯まったのでビットコインへの投資を決めたそうです。このとき、1BTCの価値は450ドル(約5万円)で、採掘用マシンを動かし続けることで1日に50BTCが掘り出せます。 (Gigazine 2016年05月25日掲出) さあ、あなたも始めませんか、バーチャルな鉱夫のお仕事。(水) --------------------- 「できる!」ビジネスマンの雑学 ジャンル別 --------------------- 〇ニュースを読む 〇出来事 〇本・雑誌 〇IT関連 〇旅 〇食と料理 〇教育 |
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