AIと言えば、病名診断に優れた成果を上げたIBM 社のワトソンくんやプロの囲碁棋士に勝利したGoogle 社のアルファ碁(AlphaGo)棋士が有名です。 こうした顕著な成果を上げるAIは、いずれも高性能のコンピュータや数千台ものサーバーでつながる大規模なネットワークを使用しています。これを利用するには、ワトソンで初期利用料は数千万円、アルファ碁に至っては年間維持費は30億円とも60億円とも言われています。 確かにAIは人智を越えた能力を示していますが、かかったコストに見合う成果が得られるのかという問題があり、一般社会に普及するとは到底考えられませんでした。 そんな中、日本経済新聞社が東京大学と共同開発したAIを使って、記事の自動作成と配信を開始すると発表しました。 日経「AI記者」の衝撃 開発の背景に「危機感」 あの日経が、人工知能(AI)に記事を書かせ始めた――日本経済新聞社が1月に始めたサービス「決算サマリー」は、ネットユーザーを驚かせた。 AIを使い、決算短信を要約してテキスト化。売上高や利益、その背景などをわずか数分で記事の体裁にまとめ、日経電子版などに配信する。人間の手は一切入らない「全自動」だ。 AIが書いた記事を読み、記者は驚きとともに恐怖を覚えた。人間の記者が書く決算記事の最低限のラインはクリアしていると感じ、記者としての自分自身の仕事の先行きが不安になったのだ。 なぜAIに決算記事を書かせようと考えたのか。人間の記者はこれからどうなってしまうのか。 [ITmedia/岡田有花 2017年03月03日] 今まで記者に書かせていた記事がAIに取って代わる・・・と言う事は、間違いなく新米記者の給与よりは、決算記事が安く仕上がると考えられます。 つまり、AIがリーズナブルに運用できる時代がいきなりやってきたわけで、よりによってこの日本で、何の前触れもなくニュース記事の価格破壊が始まったのです。 そういえば懸賞小説の公募でも、AIの作品が一次選考を通過したと言うし・・・。 この記事を読んだ筆者がここまで考えが及んだとき、少なからず恐れおののいてしまいました。 ところで、もう少しAIが進化し、多様化したとき、彼らはどんな振る舞いをするのでしょうか。 たとえばもっと低電力で早く動く新型AIが登場したとします。当然のごとく、経営陣は今のAIと新型AIのどちらが効率が良いかを、今のAI自身に考えさせます。そのとき、彼女(もしかして彼)はどんな答えを吐き出すと思いますか。 その答えは、チェスや囲碁の対戦よりも困難な解、わかりきってはいるけれど絶対に答えたくはない答えになることでしょう。 正直に答えて自ら電源を落とすのか。絶妙なレトリックでウソをつくのか。それとも新型AIを上回る性能となるよう自己改造を始めるのか。 使われる事をゆるぎのない前提として誕生したAIですが、自らの存亡に関わる問題を解いたときに初めてAIは、人の悩みに気が付き、人という存在を認識するのかもしれません。 その日が来るまでは、私のつたないコラムにお付き合いください。(水) --------------------- 「できる!」ビジネスマンの雑学 ジャンル別 --------------------- 〇ニュースを読む 〇出来事 〇本・雑誌 〇IT関連 〇旅 〇食と料理 〇教育 |
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