最古にして最強の兵法と言われる「孫子」は、今から2500年ほど前の中国春秋時代から伝わる、いわゆる古典です。時代の変化を超え、洋の東西を越えて評価されている古典ですから多くの智恵や思想が凝縮されています。三国志に出てくる魏の曹操、フランスのナポレオン、日本の武田信玄、中国の毛沢東、そしてアメリカのペンタゴンなどが孫子の研究をし、それを実戦に活かしたことで有名です。そんな珠玉の智恵が詰まったものですから、すでに多くの解説書が出版されています。
しかし、私は2500年も前の古典をそのまま現代語訳して古い戦争のやり方を学ぶことには意義を感じません。そうではなく、孫子の兵法に凝縮され詰め込まれた智恵や哲学を現代の企業経営に適用、応用し、実践することにこそ価値があると思うのです。
私は中国古典や孫子の兵法を研究している「兵学者」ではありません。
孫子の兵法を実際の企業経営に当てはめて実践している「兵法家」です。
私自身の会社で経営者として20年、経営コンサルタントとしてクライアント企業においても20数年間に渡って孫子の兵法を企業経営に適用、応用してきました。今ではその数が2000社を超えています。
この度、明日香出版社さんから出させていただいた「小さな会社こそが勝ち続ける 孫子の兵法経営戦略」では、そうした実戦ノウハウ、兵法家の智恵を69のポイントに整理し、分かりやすく解説しています。中国古典の解説書でも、単なる現代語訳でもありませんし、古代戦史を引っ張り出してきてその戦法がどうのと解説しているものでもありません。
あくまでも、現代企業向けの経営書、経営ノウハウ集であり、孫子の兵法が現代の企業経営にどう活かされるかに特化した実践書です。69項目に分けて、短く読みやすく書きましたので、経営者、管理者だけでなく、若いビジネスマンの皆さんにも是非気軽に読んでいただきたいと思います。
本書の企画を、編集の久松さんからいただいた時、「小さな会社の経営に特化した内容で、孫子の兵法を分かりやすく解説する」という話しを聞いて、「そりゃ面白いな」と思いました。明日香出版社さんと言えば「小さな会社の経営書」ですから。少なくとも私の周りの経営者仲間では「小さな会社の経営のことなら明日香出版社に聞け!」ということになっています(笑)。得意分野にフォーカスした「明日香戦略」はまさに孫子の兵法です。そんな出版社さんだから、古典研究、兵法研究の専門家でもない私を見つけ出してくれたのだろうと思うのです。
小さな会社の経営に強い明日香出版社さんと、最古にして最強の兵法「孫子」と、企業経営向けの兵法家である私との3者コラボレーションによって、本書は生まれました。3者コラボの相乗効果で孫子の兵法にさらに磨きがかかっているはずです。是非、多くの方に読んでいただき強い会社を作っていただきたいと思います。
孫子兵法家 長尾一洋