「会社の数字はすべて税理士に任せているから!!」
銀行に社長と一緒に決算書をもって説明に行った時の社長の一言です。中小企業の社長さんの半分以上の方が同じ場面で、同じセリフを言うのではないでしょうか?
そうすると、このセリフは世間では一般常識として認められているセリフということになります。
ただ、少し考えてみてください。
もし反対の立場だったら・・・。
社長が銀行の担当者で、このセリフをこれからお金を貸そうとする社長から聞いた時、一体どう思うでしょうか?大多数の社長さんが言うセリフだから、「まぁいいか」となるでしょうか?
そうはならないはずです。
反対の立場なら、ニコニコ対応しながらも心の中で“この社長の会社に融資しても大丈夫だろうか?”と思うはずです。自分の会社の決算書の数字を把握していない人にお金を貸すのは、運転免許を持っていない人に車を運転させるのと同じようなものです。当然、不安になるはずです。
経済が右肩上がりの時代は、全体が上昇気流に乗っているため、雰囲気でお金を貸せたということもありました。そういう時代では、銀行はどの会社に貸してもある程度の回収は可能だったのです。経済全体がよいのだから、個別の会社の状態もよいはずですし、財務状況のチェックなどは、ある程度やっておけばよいという感じでも問題はそれほど起きなかったのです。
不景気な時代。
普通のことを普通にやっていたのでは、経済全体の流れからいって業績は確実に落ちるはずです。そんななか、まずチェックしていきたいのが財務力。正確な決算書を作る、利用する力なのです。
現状の自社の状況を数字から正確に把握し、問題点を抽出し、それに対する解決策を考え、実行していく。このサイクルが大切なのです。このサイクルをまわすことで、会社は継続的な発展することができるはずです。そして、サイクルのスタートが現状把握というところです。自社の現状を数字面から把握するためには、決算書を読むほかに方法がないのです。
このような時代だからこそ、正確な決算書作成とその利用を積極的に取り入れる必要があります。経理担当者だけではなく、社長こそが決算書を読んでいただきたいと思っています。実際、私が関わっている中小企業でも、数字の管理ができている会社はたいてい業績が安定しているのです。
ただ、決算書は難しいと思っている社長さんも多いと思います。難しい顔をしながら読むと難しく感じてしまうもの。難しく考えず、リラックスして笑顔で読んでいただけたら、うれしいです。
税理士 出口秀樹