20代は、将来に夢など持てないような日々を過ごしていました。
そんな私が今、なぜかコミュニケーション研修や営業研修の講師をしています。しかも、超難関の国家資格を取得した人たちや、日本を代表するような大手企業のトップ営業マン相手にやらせていただいています。
人生は不思議なもので、過去に自分が悩んで苦しんだことが大きな宝物になり、今の自分の支えになるようです。
私は自分を変えたくて、営業をやりながら多くのセミナーや心理学など取り組んでいるうちに、いつの間にか、人様に教えられるだけのさまざまなコツを身につけることができました。
そのコツの中でも一番のポイントは、「相手の話をきちんと聞こう」ということです。
「自分は聞いてるよ」と思う人ほど、案外、正しい聞き方ができていないものです。
前著「あたりまえだけどなかなかできない 聞き方のルール」出版後、「本当に話を聞くとはこういうことだったんですね!」「聞くスキルが身についたら、職場や家庭での人間関係が大きく変わりました!」という体験談をたくさんいただきました。
このように前著では、「コミュニケーションが苦手で困っている人の助けになれば」という目的にはかなり近づけたと思います。
しゃべらなくても、聞き方がうまくなることで相手にとても喜んでもらえますし、自分の話をより真剣に聞いてもらえるようになります。
しかし、前著では、営業で結果を出せる聞き方までは書ききれなかったという無念さがありました。営業で契約に結びつける聞き方の部分は、ページの都合上でカットしなければならなかったのです。
ですが、今回の新刊では営業関係のスキルを思う存分に書くことができ、自分の16年の体験が役立つということが本当にうれしい限りです。
私のような話下手のための営業質問スキルをまとめた本は、本当に世の中には少ないです。
逆に話し方の本は昔からよく売れています。
多くの営業マンは、何を話すかを一生懸命に考えます。しかし、「何を質問するか」をしっかり考える人はとても少ないようです。実は、質問の良し悪しが、成績に直結しているのに残念なことです。
これは営業マンに限りません。
あなたは、尊敬する人に対して「この人は、なぜこんなことを見抜けるのだろう?」と不思議に思ったことはないでしょうか?彼らは、観察力が鋭いのです。そして、観察する要素に不可欠なのが質問なのです。あなたが一目置く人は、きっと鋭い質問をベストなタイミングでしてくれていると思います。
新刊では、相手を尊重してWin-Winの関係をつくり、お互いにハッピーになるアイディアや質問術を豊富に紹介しています。これからの時代は、インターネットの普及もあり、自分の一方的な押し付けは通じません。こんな時代だからこそ、自分の話をよく聞いてくれる人や、自分の問題を親身になって気づかせてくれる人は、大きな信頼を得られます。
今回のこの新刊、「売れる営業マンになりたかったら相手を知れ!」といわれてもなかなかできない人のための営業質問術」で、こういった意識を持つ人が増えて、聞き方や質問の達人を生み出し、多くの話下手の人たちのお役に立つことを祈ります。
ワンネス協会&聞き方普及協会 代表 松橋良紀