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2017年09月12日
目から鱗!気分を変えて英語に向き合う処方箋! 第1回(連載10回)

       ~ 理想や虚像に幻惑されないで、足元から着実に ~

はじめに
 本連載は、日本人の多くが共有している思い、つまり英語は立派な言葉で、大事な学科でもあるという意識を捨て去り、たかが英語なのだから、構えることなく気軽に使ってみましょうという考え方をお伝えすることを目的とします。
 ですから英語の文章やボキャブラリーにいっぱい触れ、英語そのものを勉強したい方や、英語が大好きな人に向けた連載では本来的にはありません。
 むしろ何かの事情で英語を疎遠に感じ、気後れを感じてきた方にこそ読んでいただきたい内容になっています。むしろそういった方の、「英語に関する心のケア」を行うための処方箋という内容なのです。

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 筆者自身、中学校で英語を始めたばかりで、まだ Tom と Susie しか英語の名前を知らない時、試験で、まだ教科書にも出てこない名前 George が読めなくて、ゲオルゲとか書いて0点と採点されました。それ以降、中学では結局、英語は嫌いなままでした。あの時の先生が、「ドイツとか北欧とか、国よっては、ゲオルゲみたいな発音するかも知れないけど、英語ではジョージと発音するのです。残念だったね」とでも言われていれば、筆者の英語への気持ちも変わっていたかも知れません。あるいは、monotonous(単調な)などという卒倒しそうな単語を、頭ごなしで覚えなさいと言われるのでなく、「モノトーン」という語源まで遡って教えてくれる先生がいたなら(モノレール monorail やモノクロ monochrome も引き合いに出して)、英語が最初から好きになったかも知れませんね。

 しかしその後、高校時代で国際的なものに目覚めて、何とか英語の成績も盛り返し、大学受験の頃は大得意になっていました。大学で国際関係学を専攻、卒業後も自分で英語の研鑽は続け、四半世紀ほどの間は世界各地の国際的な舞台で仕事をし、その後15年ほどは日本の大学で学生のグローバル教育に従事してきました。その過程で、英語が大好き、大得意ではない大勢の日本の大学生とどう向き合うかという問題に常に直面してきました。
 本連載では、今から英語に関して、自分自身が世界での経験から得たものと、大学での教育から得た経験の両方を、余すことなく、この連載のなかで紹介したいと思います。

 それは結論から言うと、「ネイティブスピーカーのような英語」という理想像に向かって英語を学ぶのではなく、もっと自然体で自分の身の回りから出発して、英語に向き合うこと、さらには逆説的ではありますが、学校英語への決別ということに凝縮されるかも知れません。別の言い方をするなら、自分に必要な範囲で英語を話して聞き、読み書き出来ればまずは上出来であり、身分相応の英語から始めましょうということなのです。

 大学教育の現場でも、そうした流れは顕著で、いまやどの大学でもイングリッシュ・カフェなどと呼ばれるインフォーマルで、アクティブ(ソーシャル)ラーニング的な場を設けています。あるいはスカイプを用いて、例えばフィリピン人と英語の会話を楽しむということも日常茶飯事になってきました。
 要するに「習うより慣れろ」ということなのです。 (続く)

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千葉大学のイングリッシュ・ハウス



タイトル 『目から鱗! 気分を変えて英語に向き合う処方箋!』     

    ~ 理想や虚像に幻惑されないで、足元から着実に ~ 

千葉大学教授 小川秀樹 (国際社会論・グローバル人材論) 

1956年生まれ。79年、早稲田大学政経学部卒業、ベルギー政府給費でルーヴァン大学留学。国連ESCAP(バンコク)、在イスラエル日本大使館勤務等を経て、横浜国大大学院博士課程修了。岡山大学教授等を経て、2016年より現職。

 著書に『ベトナムのことが3時間でわかる本』(明日香出版社)、『あなたも国際貢献の主役になれる』(日経新聞社)、『ベルギーを知るための52章』(明石書店)、『学術研究者になるには 人文社会系』(ぺりかん社)、『国際学入門マテリアルズ』(岡山大出版会)等、多数。

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