前回は取組みの中で起こった変化を紹介させていただきました。
最終回である今回は、
普通の本屋を続けるために生産性を上げる
「∞のお話」
で締めたく思います。
【作業は手早く「∞の入荷量」に負けずに】
こんな表現をしてくれた方がいました。
「日々の入荷に心が負けない」仕組み、と評価してくださいました。
毎日の入荷する本を棚に陳列していく我々書店員は、大変な仕事をしているのだと改めて考えました。
だからこそ、作業のあとにやってくる「楽しい時間」であるお客様にお買い上げいただけるための仕事をするために「ルールを決めて時間の目標を持って作業をしていく」ことが大事だと思います。
在籍していた店舗で働いてくれていた学生スタッフが、卒業後に書店員になりました。
機会があって会った時に
「あの頃の中内さんの品出しの速さにはまだまだ勝てません」と言ってくれました。
日々の品出し作業のスピードを上げて、楽しい仕事をするのは大事なことだと改めて感じさせてくれた出来事でした。
【可能性は∞ 本屋のポテンシャル】
社内外で様々な店舗のスタッフさんとコミュニケーションをとる中で感じるのは「本屋で働く人はポテンシャルが高いんだな」ということです。
スタッフさん自身から発言してくれることもあれば、
質問をすることでその可能性を感じさせてくれることもあります。
これは熟練した書店員さんであることが多いですが、
入社して〇ヵ月です、というスタッフさんからも感じることがしばしば。
それは本が好きだから、本屋が好きだから、絵本が好きだから、コミックが好きだから。動機は様々です。
ここで私の経験談を一つお伝えします。
本の担当者だった頃、得意でないジャンルがありました。
そのジャンルの本を毎月両腕に抱えて購入するスタッフがいました。
「そのジャンルの沢山購入してるじゃん、好きなの?棚自由にやってみる?」
と聞いてみると文字通り眼を輝かせ、シフトインの度に熱く語りながら棚を触っていました......。売上が伸びたことは言うまでもありません。
そう、可能性は∞だと感じております。
【時間は∞ではなく有限】
可能性は∞ですが、残念ながら時間は∞ではなく有限です。
「∞の入荷量」でもお話ししたように
作業のスピードを上げるのと同時に、
「∞の入荷量」に対して一緒に作業を行うメンバーの動きも把握することで、品出し全体の終わる時間は変わると思います。
みんなで行うためには共通の目標を設定すべきですし、その時間を皆が共有していなければなりませんよね。
さらに(これを作業量の平準化、と言っているのですが)なるべく皆の作業量は等しいに越したことはありません。
ある特定の人に作業量が偏っていることはないですか?
「〇〇さんにしかできない業務」が多くありませんか?
皆で目標設定して捻出した時間にこそ価値があると、私は信じています。
【∞の気づき】
メンテナンスについての話の際にお伝えした「気づきの量」は、増えれば増えるほど良い効果をもたらします。
メンテナンスであれば綺麗になるし、
スタッフとのコミュニケーションであればバリエーションが増える、と思っています。
担当社員だった頃、スタッフに「(スニーカーを変えたら)必ず気づきますね。『めざとい』ですね」と褒められたことがあります。
最初は「めざとい」という言葉に凹みましたが、調べてみると語源は良い意味(これも別のスタッフに教えてもらいました)でした。
私自身、まだまだ∞ではありませんが、
気づきの量を上げることによって、商品や売場の変化であったり、動きの変化であったりと、改善のネタを発見できるのではないかと思います。
さらに、気づきで人との仲も円滑になります。
作業のモニタリングはそのような点で大事ですし、
繰り返し見たり、同じ作業を別の人で見たりすることで改善のネタを引き出す質問ができるかもしれません。
【生産性向上のネットワーク ∞の改善】
次に「これからの話」をします。
これまでの記事でも再三お伝えしているように、
「どこかのお店の誰かのやり方」を∞に見つけに行きたいと思っています。
社外に出て一緒に仕事をさせていただける担当者さんと、
同じ目線でより多くの改善を行っていきたい。
同じ本屋として作業の生産性をあげる取組みを共有し合い、生産性を高めていきたい。
「こういう問題が発生していたのでこんな作業標準を以ってソリューションしました」
「その問題にはこのような作業標準を作って運用しています」
ぜひこんなやり取りをして取り組んでいきたい。
会社という「場」だけではなく、
生産性向上の担当者としての「資格」で∞の改善ネットワークを構築したい!
犀の角のようにただ独り歩め!
【普通の本屋を続けるために生産性を上げる】
本屋と、本屋で働く人が好きです。
「井の中」をちょっとだけ出ただけでもそう感じます。
ですので普通の本屋を続けるために、∞に生産性をあげる活動が出来れば、そしてみなさんのお役に立てれば良いな、と思っています。
これまで読んでいただいた皆様、ありがとうございました。
一番のサービスは
「そのお店がその地域にあり続けること」
だと信じ続けております。