【1】生産性を上げる
作業の生産性を上げるためには、下の3つのことを実践するように伝えています(上司の受け売り)。
1.作業標準をつくる
2.トレーニングする
3.チェックの仕組みを作る
のこれだけです。
では、それぞれについて細かくお伝えします。
【2】作業標準をつくる
ここでの作業標準とは「手順とかける時間を決めること」です。
たとえば第1回の記事では、雑誌の付録つけ作業が大きなヒントになりました。
まず熟練したスタッフさんの手の動かし方を、文字や画像、動画で記録していきます。
そして「3倍速い」というその速さに即して「トレーニングを通じて、1冊当たりこの時間で付録をつけよう!」という時間を決めました。
これら「手順とかける時間を決めたもの」が作業標準です。
これで「雑誌付録付け作業マニュアル」の完成です。
ちなみに、定めたツール以外の手法以外の物凄い「付録つけ」にも出会いました。
まるで踊っているかのような作業風景でしたが、より簡単で習熟するための期間が短い動かし方を採用するようにしています。
そして「基準」が決まると、面白い出来事(生産性を高めるという意味で)に遭遇しました。
ある研修で「これを言わねば」と積極的に望んでくれる方がいて、
なんと研修を一旦止め、その方から持ち込まれた付録つけの際の手の動かし方を講師側・参加者側の全員で検証しました。
その結果「雑誌付録つけ作業マニュアル」がバージョンアップされ、
「十字掛け」と「八角掛け」のツートップで作業は進められることになりました。
作業標準を皆が共有することによって「これは基準に満たしているから」とさらに熟練した技が持ち込まれる......という、いわばボトムアップの改善が見られた瞬間でした。
ここで一つ、マニュアルについての考え方をお伝えします。
かつて「マニュアルは絶対に突っ込みどころがなく唯一無二でなければならない」と思っていました。
しかし今は作成の段階から試行錯誤を重ね、
作成を終えた後もプロジェクトメンバーの店舗で検証を重ねてリリースしています。
そしてさらに生産性が高いであろうノウハウ・工夫があったら取り入れ、改訂しています。
このように考えを改めました。
・設計における目的の上に成り立つものは取り入れて改訂していく
・運用ではまずはマニュアル通りに実施してもらい、基準に対して良し悪しの判断ができるようにする
・その上でノウハウを集約し、検証・改訂していく
このようなサイクルで取組みを実施しています。
言わば、どこかのお店の誰かの手の動かし方、がマニュアルになっているのです。
【3】トレーニングする
ここでのトレーニングは、決められた作業標準をもとに作業をすることです。
トレーニングと聞くと拒否反応を示さる方がいるのでは?でも大丈夫です。
いわば「毎日の作業を手順とかける時間を意識して品出し作業をしましょう!」ということです。
突然品出し作業と書きましたが、これは調査で導き出した
「本屋の仕事はおおよそ40%が品出し作業、40%がレジでの接客」
という作業構成比をもとにお話ししています。
お客様に迷惑をかけず自分たちで完結できる品出し作業の生産性を上げていくためにスタートさせました。
雑誌付録付け作業も品出し作業の中に含まれるのですが、
同じように手順とかける時間を決めた「品出しマニュアル」も作成しました。
おそらく入社してジャンルや棚の担当を持ったその日からほぼ毎日やっている品出し作業に、かける時間を意識して取り組んでいこうというトレーニングです。
【4】チェックの仕組みを作る
この取組みを始めてから、こんなことをよく耳にしました。
「このやり方、昔〇〇店長の時にやっていたんですよ」
「これって、〇年前くらいにやってたよね」
「どうせ長く続かないし、またいつの間にかなくなっているんでしょ」
人が変わったから、時間がたったから、、、よくある話です。
こうなるのは
・人がいる/いない
・時間が経つ/経たない
・やる気がある/ない
・能力が高い/低い
、、、ではなく「続けるためのチェックの仕組みがないから」だと上司に言われます。
そこでチェックの仕組みとして、品出しの時間管理と作業標準の確認を行っています。
・毎日、入荷量に応じた「品出し目標時間」の設定と「その時間に対するフィードバック」をする
・朝から店舗に伺って、作業リストをもとにチェックを行う
・できていない箇所を次回のチェック時までの課題とし、改善する
という流れです。
内緒ですけど、実はお店のチェックには「研究課題の収集」という側面もあります。
要は
「やり方を変えてどうですか?」
「日常で(ルールがなくて)困っていることはないですか?}
と皆さんに聞くことによって新しいルールを設けていくのです。
事前に行くとお伝えしてはいますがこの「中内抜打ち」、「たまには役に立つ」とかとか言われながらうかがっております。