実は私は1度も海外に行ったことがありません。
飛行機が苦手というのが一番の原因ですが、特に行く用事もなかったのです。
けれど最近、モロッコに行ってみたくてなりません。
モロッコには街じゅうが青く塗られている「シャウエン」という街があります。
青色が大好きな私は、その街をこの目で観てみたいのです。
さらにはモロッコ料理店が大好きで、クスクスもタジンも、何を食べても五臓六腑にしみわたるくらい美味しいのです。もし前世というものがあるとしたら、私はモロッコにいたのかもしれないとさえ感じるくらいモロッコのことが気になっています。
行きたい街ができると、私はまずはKindle Unlimited(amazonの電子書籍読み放題)で写真集を探します。モロッコも幸いにして何冊かありました。さらにコミックエッセイもあったのでダウンロードします。
そして最終的には、行く予定もないのに旅行ガイドを買ってきます。
旅行ガイドのいいところは、現地の物価がわかること。食事はこんなに安いのか、ホテルはいいところだと高いな、ラクダに乗るならこのくらいか、などと脳内で実際に旅行したことをシミュレーションして楽しむのです。
私の娘にも同じようなことをしました。
ヨーロッパに行ってみたいと騒ぐ娘に、まずは写真集、そして旅行ガイドを見せたのです。
しげしげと何日も見入っていた彼女は、すっかり現地の価格が身についたようです。
実際に学生ツアーでヨーロッパに行った際には周りのお友達が「日本よりご飯が高い」とこぼすなか、「こんなもんだ」と理解したうえで支払ったそうです。
今ではVRゴーグルが家にあるので、私は砂漠を車で走ったり、ニューヨークの高層ビルを見上げたりと臨場感たっぷりに楽しめています。ますますヴァーチャル海外旅行派として過ごしてしまっているこの頃ですが、モロッコはいつの日か自分の足で歩いてみたいものです。(作家・内藤みか(@micanaitoh))
illustration...Kakky