今月(2025年4月)初旬、筆者は九州に帰省したついでに九州国立博物館(太宰府市石坂4-7-2)を訪れました。
場所は太宰府天満宮のすぐ隣。「だざいふ遊園地」に隣接する博物館入口からエスカレーター、動く歩道を乗り継ぎながら、丘の上の本館を目指します。
※博物館入り口
会場に入るとすぐにひょうきん顔の埴輪二体がお出迎え。現在、九州国立博物館では「特別展はにわ」を開催中。会期は2025年5月11日(日)まで。
※「埴輪 踊る人々」(東京国立博物館蔵)
【開催概要】
■展示名
挂甲の武人 国宝指定50周年記念/九州国立博物館開館20周年記念
特別展「はにわ」
■会期:2025年1月21日(火)~5月11日(日)
■観覧時間:午前9時30分~午後5時
※入館は閉館の30分前まで ※毎週金・土曜日は午後8時まで夜間開館
※夜間開館の実施については、九博公式サイトを確認ください。
■休館日:月曜日
(ただし4/28, 5/5は開館、5/7は休館)
「特別展はにわ」(九州国立博物館)公式サイト
https://www.kyuhaku.jp/exhibition/exhibition_s72.html
ところで、古墳時代とはいつ頃のことだったのでしょうか。
資料によると、3世紀半ばから7世紀頃までの約350年間となっています。
これをのちの時代に当てはめると、鎌倉時代から安土桃山時代まで。もしくは江戸時代の始まり(1603年)から昭和時代(1950年)までが350年となります。かなり長い期間が古墳時代に当たります。
古墳時代を埴輪の変遷で見ていくと、初期の埴輪は円筒形が多かったそうです。それがしだいに人形(ひとがた)、建物、動物、船など多岐にわたるようになります。古墳後期にはただの人形ではなく力士、楽士、巫女など職業を表すようになります。
6世紀には地域の王(支配者)の姿と思われる像や 現在の神社に類似した構造の家屋なども登場し、身分制や宗教による統治が始まったことをうかがわせます。
※「埴輪 あごひげの男子」(東京国立博物館蔵)
※「家形埴輪」(高槻市立今城塚古代歴史館蔵)
現代の私たちは土塊(つちくれ)でできたものだからと軽く見がちですが、芸術性にすぐれた作品も数多く残されています。身近にいるニワトリの像は現代アートと言っても遜色ありません。
※「鶏形埴輪」(東京国立博物館蔵)
古墳時代は船は重要な交通手段でした。十数人が乗り込めるオール漕ぎの舟形埴輪や装飾をあしらった豪華な船などは、その構造までわかる精巧な造りです。渡海能力にすぐれた造船技術は古墳時代に頂点にあったようです。国風文化が花開いた平安期はといえば遣唐船は風任せでした。古墳時代の航海技術がうまく引き継がれなかったことがわかります。
※「舟形埴輪」(東京国立博物館蔵)
※「模造 舟形埴輪」文化庁(九州国立博物館保管)
本展の展示物の見どころと言えば「挂甲の武人(けいこうのぶじん)」です。
日本国内外から5体の武人が一堂に会しています。国宝、重要文化財などの指定を受けた埴輪もあり、装飾の微妙な違いを見比べることができます。一説にはいずれも同じ工房等で作られたのではないかと言われています。
※国宝「挂甲の武人」(東京国立博物館蔵)
現在の日本の始まりは中国の史書などの文献にしかないとよく言われています。しかし、日本の国土にはいまも大量の遺物が眠っており、復元された埴輪たちが当時の日本を雄弁に物語っています。(水田享介)
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【関連リンク】
九州国立博物館 公式サイト
https://www.kyuhaku.jp/