アメリカのバイオ企業「コロッサル・バイオサイエンシズ」(Colossal Biosciences [Colossal])は、このたび絶滅した「ダイアウルフ」の復活に成功したと発表しました。
絶滅のダイアウルフ "ゲノム編集で復活" 米バイオ企業が発表
このバイオ企業の研究チームは、ダイアウルフの骨と歯の化石からDNAを取り出して分析し、ほかのイヌ科の動物と比較...。
遺伝的に最も近いハイイロオオカミの遺伝子にゲノム編集の技術を使ってこれらの特徴を組み入れ、さらにクローン技術を使うことで、去年からことしにかけて、あわせて3頭を誕生させることに成功...。
(NHK NEWSWEB 2025年4月8日)
※イメージイラスト
当コラムでは、2024年にこのバイオ企業の取り組みを紹介しています。永久凍土に眠るあのマンモスを復活させようと、各方面から巨額の資金(1,500万ドル)提供を受けて事業を展開しています。
絶滅したマンモスを復活させて北極圏に解き放ちたいというのですから、映画「ジュラシック・パーク」顔負けの絶滅種のテーマパーク建設が最終目標のようです。
[870]マンモス再生プロジェクト、果たして実現する?
マンモスを復活させようという計画が10年以上昔から続いており、基礎的な細胞の培養に成功したと発表...。
(2024年03月08日)
https://www.asuka-g.co.jp/column/2403/012524.html
オオカミに近いイヌ科の動物を復活させたということで、この企業のゲノム編集やクローン技術は確かなようです。
しかし、疑問は残ります。ニュースによると、
絶滅したダイアウルフとは遺伝的には同一ではないものの、企業側は、白く長い体毛などの外見的な特徴が再現できたと考えていて「絶滅した生き物を復活させた」としています。
(NHK NEWSWEB 2025年4月8日・同記事より)
遺伝子的には違う部分はあるが、「見た目は再現できた」から絶滅種を復活させたとの主張。これを「絶滅種の復活」といえるのでしょうか。
このコロッサス社はもうひとつ、マンモスにつながる新技術を達成しています。
マンモス復活を目指す企業がもこもこの毛皮を持つロン毛マウスを作り出したと発表
Colossalが、「ケナガマンモスをほうふつとさせる長い毛皮を持つマウス」を作り出すことに成功しました。
(Gigazine 2025年03月05日)
マンモス復活はまだ先のようですが、一歩近づいたと自賛しています。
マンモス復活事業でも、毛を長くしたアジアゾウかアフリカゾウをマンモス復活と言いはしないか、筆者としてはとても心配です。
中国では寿命を迎えたイヌやネコのペットから、見た目そっくりのクローン動物を再生させる事業があります。一匹で500万円程度ですが、ペットロスになった富裕層には大はやりと聞きます。
人間のエゴで霊界から呼び戻される動物たち。人間のクローンは全面的に禁止されていますが、だからといって安心もできません。
AI技術全盛の今は、人間の意識をチップにコピーできる日も遠くないそうです。仏陀(仏教の悟り人)や哲学者の語り口で応答する偉人AIはすでに登場しています。
すぐれた政治家や経営者のマインドはクローンとして永遠に人間社会を支配し続けるのでしょうか。もはや老害を通り越してAI害です。
人類の英知の継承は、格言や書籍に留めていた方がよさそうですね。(水田享介)