筆者が旅をしていてよく目にとまるのが太陽光パネルがずらりと並んだ発電施設です。新幹線の車窓から航空機から見下ろす農地や山々、果ては湖まで、光り輝く銀板は今日もせっせと発電に努めています。
東日本大震災による原発事故を受けて、国の政策が太陽光発電には高額買い取りを決めて以降、日本の山野はギラギラと輝くばかりでのんびりと目を向けられなくなりました。日本中が売電利益に目を奪われたかのようです。
ところが近年、その発電施設が泥棒に狙われています。しかも被害額は数百万から千万円単位というので警察も見過ごすわけには行かないようです。
埼玉 太陽光発電施設で銅線ケーブル窃盗か 外国人2人を逮捕
警察によりますと、去年10月の深夜、埼玉県寄居町の太陽光発電施設で銅線ケーブル560メートル、170万円相当を盗んだ疑い...。
埼玉県内では去年1年間で太陽光発電施設の銅線ケーブルが盗まれる被害が344件確認され、警察は金属価格が高騰する中、窃盗グループがターゲットにしている...。
(NHK NEWSWEB 2025年3月6日)
盗難事件は埼玉県だけでなく関東全体で頻発しています。
群馬 太陽光発電施設の銅線ケーブル窃盗多発!現場の対策は
去年1年間(2023年)で群馬県では金属を狙った窃盗事件が1437件発生し、全国で4番目の多さとなりました。なかでも県内では太陽光発電施設を狙った銅線ケーブルの盗難被害が、この「金属窃盗」のおよそ8割...。
(NHK NEWSWEB ぐんまWEBリポート 2024年7月25日)
埼玉県だけで2023年は344件の盗難事件が発生。群馬県に至ってはその3倍以上。なぜこうも銅線ケーブルの盗難が相次ぐのでしょうか。
ひとつには人通りの少ない農地や切り開いた山間部などに発電施設をもうけていることにあります。夜ともなるとあたりは真っ暗で人家もなく、泥棒は堂々とトラックでやって来て、大量のケーブルを切断すると手際よく荷台に積み込んで去って行きます。
ケーブル盗難被害が多発、昨年上回るペース
摘発はカンボジア人が最多、トクリュウ暗躍か
年上半期の被害は4161件と、昨年1年間の5361件を上回るペースで推移している。摘発されているのはカンボジア人が最多となっており、警察当局は外国人を含む「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」が暗躍している...。
(産経新聞 2024年9月30日)
犯行人数、装備や車両の用意、売り先の確保などをみると犯罪組織の存在がうかがわれます。また外国人だけでなく日本人の犯罪も目立っています。
発電施設で儲けていた会社が損するだけと人ごとのように言ってはいられません。設備資材の盗難がお金になると覚えた犯罪者たちは、日本のインフラにも標的を定めています。
すでに電線や通信ケーブルが工事現場から盗まれて公共工事に影響がでるなどの被害が出始めています。
下水道処理施設から電線ケーブル約800キロ盗んだか タイ人の女ら逮捕
神奈川県内の下水道処理施設から電線ケーブルおよそ800キロを盗んだとして、タイ人の女らが逮捕...。警察はこの5人が窃盗グループで、他にも140件ほどの電線ケーブルなどの窃盗に関与していた...。
(日テレNEWS 2025年3月7日)
日本は急激な人口減少に入っており、労働力を外国に求めることは避けられません。いつまでも昔は良かったと言うだけでなく、これからどう対策していくのかを真剣に議論する時代に入ったようです。(水田享介)