ヒトの幹細胞から培養して脳と同じ神経回路をもった生体、それがオルガノイド(人工脳)とも、ニューロコンピュータ、バイオコンピュータとも言われる人工知能を持つ新しいコンピュータです。
機械なのか生命体なのか一般人には判別しかねる存在ですが、いよいよ実用化の段階を迎えて、世界で初めて発売されることになりました。
人間の脳細胞を使った「世界初の商用バイオコンピューター」が登場
オーストラリアのスタートアップであるCortical Labsが、世界初の商用バイオコンピューターとなるCL1を発表しました。培養した人の脳神経細胞をシリコンチップにつなぐことで、...。
(Gigazine 2025年3月5日)
※世界初のニューロコンピュータ「CL1」(画像は公式サイトより)
Cortical Labs 公式サイト
https://corticallabs.com/cl1.html
開発元企業の Cortical Labs ではすでに3年前に培養した脳細胞にゲームで遊ばせることに成功しています。
このバイオコンピュータの特長は、従来のAIシステムよりも少ないデータから適切な判断ができること。また消費電力は「ラック全体でも約850~1000Wに抑えられる」とのこと。
このコンピュータを開発した目的を上記の記事からまとめると、以下の通りです。
「知能の基盤である神経細胞からなる生命形態システムに対して様々な実験が可能となる」
「人間が持つ知能へ機械的・工学的アプローチを行っている」
「人間や実験用動物を用意することなく、安定した生命形態にテストを行い評価を得ることができる」
「製品版のCL1 は人間のような意識を持たないので実験に最適」
これまで生命体しか持ち得ない知能という領域を実現した「バイオコンピュータ CL1」。その価格「1ユニット当たり3万5000ドル(約520万円)から」。
クラウドサービスもあるため、手許に置くことなく「クラウド経由で生物学的ニューラルネットワークにアクセスすることが可能」だそうです。
どのような実験に利用が可能なのか。そしてどんな成果が得られるのか。いまだ未知数ですが、シリコンチップのAIでは見えなかった世界が拓かれるのでしょうか。興味は尽きません。(水田享介)