日本全国をお得に回れる「青春18きっぷ」。2024年冬季の利用開始日が明日、12月10日から始まります。この切符の発売期間は2025年1月8日まで。利用期間は2025年1月10日までとなっています。
ところで長年続いてきた「青春18きっぷ」ですが、この冬から使い方のルールが大きく変わったのをご存じでしょうか。
トクトクきっぷ 〉青春18きっぷ
JR全線の普通・快速列車の普通車自由席、BRT及びJR西日本宮島フェリーを、連続する3日間または連続する5日間乗り降りできるきっぷです。年齢にかかわらず、どなたでもご利用いただけます。
(JRおでかけネット・公式サイト)
ルール変更をまとめるとこうなります。
【従来】 → 【2024冬季から】
・有人改札を通過 → 自動改札に対応
・任意の5日間使える → 連続した5日間で使い切る。間を空けると失効
・5人まで複数人で使える → ひとりの使用に限定
・5日間用切符のみ → 3日間用切符が登場
5日間用の販売価格は、12,050円。3日間用は10,000円。こどもも同額になります。
これまでの5日間用きっぷでは休日の旅に1日だけ、2日だけと小分けして5日間を使い切るまで列車旅を楽しめ、近郊の小旅行にぴったりでした。
ところが連続した5日間しか使えないと旅行開始日から5日間は必ず旅をしなければならず、時間に余裕のある人しか使えない切符になってしまいました。3日間きっぷを登場させたのは、週末しか使えない人や連続して5日間も旅行できない人への対応と思われますが、それでも土日しか休めない人は1日分が無駄になってしまいます。
自動改札OKほか3日間用も!
「青春18きっぷ」がリニューアルして登場へ
・・・「青春18きっぷ」について、サービス内容をリニューアルのうえ発売すると発表しました。変更点は以下の通りです。
・自動改札を通過可能
・連続する3日間用を新たに販売
・5日間用も、連続して使わなければならない
(乗りものニュース編集部 2024年10月24日)
このリニューアルには不便になったという青春18ファンの声も多くあります。
「改悪」「残っただけマシ」ルール激変の「青春18きっぷ」
ネックは"連続"利用か 衝撃発表にSNS困惑
いずれも購入時に利用開始日を決めて、その日から連続で使う形に変わります。飛び飛びの日程では使えません。...「残っただけマシでしょ」「存続してくれるだけでありがたいと思おう」と、リニューアルに理解を示す人もいました。
(乗りものニュース編集部 2024年10月24日)
「青春18きっぷ」のルール変更は、全国的に普及してきた自動改札対応で、駅員の対応を簡素化する効果があります。また、従来の紙チケットでは有人改札で入札の有無、残り期限の確認などを一枚ごとに取る必要がありました。
人員の削減や省力化という時代に沿った改革の中で、「青春18きっぷ」を存続させたJRの努力には一定の評価があります。
※昭和のレトロ感漂う甘木鉄道「太刀洗駅」(筆者撮影)
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筆者の知るかつての国鉄時代、経営側が進める人員削減とそれに対抗するストで列車が走らないことが毎年のように起きていました。いわゆるモータリゼーションで運賃収入は先細り。そこへきて駅施設も車両も老朽化。収益の上がらない路線を抱えてダイヤ縮小に始まり行き着く先の廃線へまっしぐら。まさに負のスパイラルを抱えたビジネスモデルでした。
国民生活混乱 スト権スト
11月26日、公共企業体等労働組合協議会(公労協)は、10日間という前例のない長期ストライキに突入した。
(NHK アーカイブス・放送年:1975年)
これは日本に限ったことではなく、今でも東南アジアやヨーロッパの先進国でも鉄道事業の先細り感は否めません。
ところが日本では国鉄はJRと名称変更して民営化した後、たゆまぬ経営努力の賜か、駅舎の建て替えからエレベーター、エスカレーターの導入、駅ナカとも言われる駅の商店街化により、駅は人が集まる場所へと変貌を遂げました。
クルマの旅もいいものですが、お菓子やお酒をいただきながら流れゆく車窓に旅情を味わう鉄道旅は、いくつになってもいいものです。
今年の冬こそ、5日間とはいかずとも、せめて3日間でも「青春18きっぷ」の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。(水田享介)