道路を歩いている時にいちばん身の危険を感じるのは、スマホを見ながら自転車を走らせる人が歩行者の存在に気付かずに向かってくる時です。
筆者がこれまでに見た最大のながら運転は、男子高校生でした。飲料パックを左手に持ち、それを飲みながら、スマホの画面を見ながらイヤホンで誰かと会話を楽しみつつ、ハンドルにはマンガ雑誌を乗せてページをめくっていました。
これらすべてを一度にこなしながら自転車で走っていたのです。タイパ(タイムパフォーマンス)の高い走りでしたが、安全性はどうなのでしょうか。
一時期、調理品の配達員が縦横無尽に走り回っていた時、彼らの殆どがスマホのマップしか見ずにバイク並みの速度で突進していく姿を見るに付け、もし自分が子どもだったらあっという間にはねられてしまうなと恐怖を覚えました。
自転車の交通マナーはここ最近、どんどん悪くなっているように筆者は感じます。スマホしか見ない運転、赤信号の無視、横断歩道や歩道を歩く人への妨害、歩行者を縫うようにして走る危険運転など、危険運転と判った上でやっている大人の多いことも特徴です。
そしてようやくこの自転車の横暴を止める手段が整いました。これまで放置されてきた危険な運転はすべて法律で禁止され、罰則も適用されることになりました。
自転車「ながら運転」法律で禁止へ 利用者に注意呼びかけ 東京
来月1日から改正道路交通法が施行され、自転車の運転中に携帯電話を使用したり、画面を注視したりする「ながら運転」が禁止され、罰則が科されます。
また、自転車での「酒気帯び運転」や、「酒気帯び」の状態で自転車に乗る人に酒を提供する行為も新たに罰則の対象となります。
(NHK NEWS WEB 2024年10月24日)
自転車に関する道路交通法の改正について
令和6年11月1日道路交通法の改正
自転車運転中の携帯電話使用等に起因する交通事故が増加傾向であること及び自転車を酒気帯び状態で運転した際の交通事故が死亡・重傷事故となる場合が高いことから、交通事故を抑止するため新しく罰則規定が整備されました。
(警視庁ホームページ 2024年9月12日)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/cycle_kaisei.html
自転車に乗る人の特徴として、衝突が差し迫ってもなかなかブレーキをかけないことがあります。脚力で速度を出しているから、自分のパワーをブレーキごときで消耗したくないという心理からでしょうか。
衝突事故を防ぐいちばんの方法は、スピードを落として一時停止することです。
目隠しをして自転車を走らせることは誰もが危険とわかっているので、そんなことをする人はいません。ところが多くの人がスマホを凝視しながら自転車を漕いでいます。画面だけを見て、前を見ずに走っている姿は、目隠し運転と同じ事なのに。
事故に遭うまではそんなことにも気がつかず、命の危険を犯してまで見なければならないスマホの画面には、いったい何が映っているのでしょう。
自転車のながら運転、酒気帯び運転を禁止する改正道路交通法は、来月(2024年11月)1日から施行されます。(水田享介)
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■関連リンク■
2024年11月自転車の「ながらスマホ」が罰則強化!
「酒気帯び運転」は新たに罰則対象に!
(政府広報オンライン 2024年10月18日)
https://www.gov-online.go.jp/article/202410/entry-6604.html