先日のこと。筆者は高校時代の山岳部仲間四人で集まり、居酒屋で暑気払いを行いました。その時、ある話題で座が賑わい(?)ました。
仲間の間ではもっとも屈強で背が高かったひとりが、待ち合わせの場所で皆の中に埋没していたという驚きの発見があったのです。
昔なら人混みの中にいても威風堂々としてひと目でわかった彼。それがいまや群衆に紛れ込む姿に、背が縮んでいるのではとの疑念がわき上がったのです。60代半ばの一同は昔話にワイワイと談笑はしたものの過ぎ去った歳月を感じ取り、何とも言えないアイロニーを共有したのでした。
筆者の子どもの頃、中学に上がるあたりから身長測定はひそかな楽しみでした。何と言っても身長は勉強と違い、放っておいても毎年ぐんぐんと伸びていきましたから。
成人してからの学力の低下はしかたがないとあきらめも付きますが、人体の基本、身長までも低下を免れられないのか。
「人は年を取ると背が縮んでいくとは・・・」。体の中には頑丈な骨が入っているはず。それが何センチも縮むとは信じられなかったのですが、調べてみるとどうやら事実のようです。
以下はアメリカの調査ですが、70歳になるまでの間に平均で男性は3㎝、女性は5㎝も身長が縮んでいたそうです。
なぜ人間は年をとると体が縮んでしまうのか?
実際に、17~94歳の男女2084人を35年間追跡したアメリカ国立老化研究所の調査では、人々は30歳頃から身長が減り始める...。80歳になると、男性は平均5cm、女性は平均8cmも身長が小さくなった...。
(Gigazine 2024年8月28日)
※出典
Why do we shrink as we age? | Live Science
https://www.livescience.com/health/why-do-we-shrink-as-we-age
日本の研究では身長の縮みと死亡リスクには相関関係があることも判明しています。
身長のわずかな縮みも死亡リスク上昇と関係
身長の短縮は40歳代で始まり、70歳以上になると加速します。原因は、骨粗しょう症や、背骨を構成する椎骨の骨折、椎間板の変形、姿勢の変化などさまざま...。
(日経グッディ・医学ジャーナリスト/大西淳子 2023年7月7日)
身長が年齢と共に縮む原因は、体内水分量の低下、関節の摩耗や弾力性の喪失、猫背などのアンバランスな姿勢、筋肉や骨の老化に加え、骨密度の低下や骨粗しょう症などが考えられるようです。
原因が多すぎて、対策が追いつかない気もしますが、骨密度を保つためにはバランスの取れた食事、適度な運動が効果的のようです。
別の統計によると身長の縮小は、早い人では30代から始まるともいわれています。何年も身長を測っていない方は、正確な測定器で測ることをおすすめします。
気がついた時には身長が○○センチも縮んでいたとならないよう、成人した後も定期的な身長測定は欠かせませんね。(水田享介)