筆者は当コラムの告知のため、Facebookを利用しています。個人情報の露出を控えて友だち申請も行わず、自分の投稿は一ヶ月以内に削除しています。
Facebook運営にあまり好ましいユーザーと思われていないようで、フィード(タイムライン)上に出てくる他の方の投稿は少なく、閲覧できるのは数本のニュースだけということもしばしば。
時たまプロフィール写真が美女の方が友だち申請をしてきますが、「わたし(筆者)、LINEアカウントなしですよ」と返信すると、スウッと消えていきます。
LINEも使えないおっさんには用はないようです。
先日、トップページのフィードで押し間違いをして、画面右上の「広告」をクリックしたところ、とんでもない画面に遷移してしまいました。
※右上の「新しいメッセージ。...」をクリックしてしまった。スペルミスがあるが fb.messeger と「今すぐチェック」はいかにもなタイトル
※突然、Facebook画面を覆い尽くす警告?画面が登場。タブには「コンピューターエラー」とWindowsアイコン
用語の端々に表記の誤用があり、マイクロソフトに電話しろとメッセージが流れるなど、IT技術者からしたら「ありえない誘導」をしてくる時点ですでに怪しさいっぱいの画面です。
「Windows Defender にユーザー操作をブロックする機能はない」し、ましてやPC端末すべてにここに電話してなどと表示したら、サポートは数分でパンクします。あのOS開発会社がそんな丁寧なことをするはずがありません。
考えればすぐに判りますが、PCトラブルをアナログな音声通話で解決することはありません。サポートするというならトラブル機をリモートでチェックするしかないのですが、それは高額のメンテナンス契約を結んだ企業でしか行ってはいません(筆者はこうしたメンテナンス体制の立ち上げを担当したことがあります)。
リモートアプリすらプリインストールしていない環境で、ただの通話で何を解決するのでしょうか。
専門知識もない一般の方が、電話通話だけでPCトラブルの状況を説明するのはまず不可能で、ましてやユーザーが正しい解決策を聞き取って実行することはありえないことです。
警告画面を眺めながら数秒間、筆者は頭の中でこのような思考を巡らせた結果、すぐに次の行動を起こしました。
「広告規定にしたがっていないコンテンツ」としてFacebookサポートに連絡しました。
期待してはいませんでしたが、1時間半後にFacebookサポートから返信が届きました。
「広告を削除しました」
※Facebookサポートから届いたメッセージリスト
問題は解決したのですが、この事案が発生した原因が取り除かれたとは思えません。
詐欺広告がトップページに堂々と広告されたわけですから、Facebookの責任が問われます。
広告画像もFacebookのメッセージ到着サイン(赤丸に白抜き数字)を模倣して画面デザインの均一性があり、悪意と悪質は明白。
誘導先の画面には、おそらくFacebookやマイクロソフトのIDやパスワードを入力させて盗み取る画面が用意してあるはず。
通話する先には言葉巧みに個人情報やパスワードを聞き出す詐欺犯が待ち構えている可能性。
Facebookはこのような詐欺広告の出稿者からも、高額の広告費を受け取っており、人的交流を行い友人を増やしましょうとその場所を提供しながら、実際には「詐欺犯に犯罪の場所を提供している」に過ぎない、のではないでしょうか。
Facebookは広告規定を設けているようです。しかし、広告申請を受ける段階で厳重な審査を行い、広告規定に違反する広告は出稿しないことを優先するべきです。そうなると審査コストをかけた上に広告売り上げが減少するからやりたくはないのでしょう。
ユーザーから申告があれば削除するから「広告の品質と関連度が向上」するというおかしな論理もここから発想しているようです。
一方で、Facebookはルール違反の投稿は削除に努めており、それなりの企業努力もみせいてます。
筆者は、当コラムで執筆した原稿を投稿しました。
「[907]京都人の「いけず」を学ぶ『京都人狼』、新発売(2024年08月02日)」
https://www.asuka-g.co.jp/column/2408/012642.html
ところが、翌日にはFacebook運営から削除されました。
削除理由は「他の人から機密情報を収集しようとした」とのこと。
掲載画像がミステリアスな京都美女でしたから、それが理由か?
※投稿の削除理由
この件は審査のリクエストを行うと、数時間後に投稿は再掲載されました。
Facebookの中で、人によるサポートは機能しているようです。数時間で対応し解決しているので、迅速で誠実さも感じられます。著名人を使った詐欺広告や違法電動車の広告も出稿が減っています。
しかし、Facebookの広告手法はどうにもいただけません。
たとえるならば「羊小屋に入場料を取って狼を放つ広告手法」とでもいえるでしょう。
GAFAのこれまでの繁栄を支えたのがこのようなダークなビジネスだったのか。その詳細はこれまでもこれからも明かされることはないでしょう。
唯一判っていることは、いちど手に入れた収益システムは誰しも、なかなか手放せないということだけです。(水田享介)