「できる!」ビジネスマンの雑学
2024年07月22日
[904]SNS詐欺広告、99%がLINEに誘導

 最近、詐欺広告の問題が大きく取り上げられています。その中でも「なりすまし詐欺」の被害額の多さに社会は騒然としました。著名人の顔写真や名前を無断で掲載して、その知名度と信頼性をエサに多くの人のアクセスを集めるという、悪質きわまりないやり方はついに裁判にまでなりました。

 筆者も仕事柄いくつかのSNSを利用せざるを得ませんが、有名人を前面に押し出した投資広告、日本では利用できない違法車両や改造車が1万円以下という、いかがわしすぎる通販広告はいまも毎日のように目にします。

 新聞やテレビなどの旧来のメディアではまず広告できないものがなぜネット広告ではこうも氾濫しているのか。
 その裏には広告収入をあてにしたネット媒体とネット広告業界でいまだ自主規制が整わない現状があるようです。

 こうした詐欺広告がどのように消費者を詐欺へと誘導するのか。その調査結果からある一定のパターンが判明しました。

著名人なりすまし偽広告の99%がLINEに誘導...
メタのSNS掲載、詐欺被害相次ぐ
 米メタが運営するSNSに掲載された著名人のなりすましとみられる投資関連広告のうち、99%超がLINEに誘導する内容だった...。LINEに誘い込まれた人が詐欺グループにだまされ、投資名目で金銭を詐取される被害が相次いでおり、メタ・LINE側双方に対策の徹底が求められる。
Yahoo!ニュース/読売新聞オンライン 2024年7月22日

※この記事は 2024年7月22日付けの読売新聞紙面に掲載されています。

 この記事通りのことは、いまもさかんに行われています。

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 筆者は男性だからでしょうか、妙齢女子の顔写真付きで友だちになりたいと突然メッセージが届きます。プロフィールを見ると日本に留学中の中国人か台湾人。「友だち申請に失敗したからあなた(筆者)から友だち申請を私(詐欺犯人)宛てに送って欲しい」と言ってきます。

 友だち申請を送らせる理由は、過去にFacebookには、友だち申請を送った側の個人情報や友だちリストの情報を受取者は丸ごと入手できるバグがあったため、その手法が何らかの形で残っているからでしょう。
※残念ながらこのバグ情報は、今では検索してもヒットしなくなりました。

 この場合でも、数回のメッセージやり取りの後に、すぐにLINEに誘導してきます。

 LINEへ誘導する理由は「友だち」の囲い込みでテキスト会話情報を秘匿できることを悪用するためと、前出の記事で紹介しています。

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 現時点では、これらの犯罪から逃れる方法は「あやしい連絡には気をつけましょう」程度の注意喚起しかありません。

 これは筆者の個人的意見ですが、すぐにできて最も効果の高い対抗策は「騙されたくない人はスマホからLINEツールを全削除する」ことでしょう。

 ネット特性を知り尽くした詐欺犯たちが、悪質化・巧妙化した犯罪手口を使っている以上、通信を管理する行政からも何らかの法整備をする必要はあると筆者は考えます。

 名前を使われている著名人の訴えに反応の薄いメタ社への聴取、LINE機能の低い安全性と悪用されている秘匿性や送金機能などはすぐに対策を命じるべきでしょう。またサーバーの所在地を曖昧にしか回答してこなかったり、顧客情報の漏洩を繰り返すLINE運営者には何らかの規制をかける時期にきているのではないでしょうか。

 現行法でもいろいろと対抗策は打てるはずですが、いまだ打開策は打たれてはいません。行政側も本人の意志で送金した可能性があり...などと逃げの姿勢では、解決にはほど遠いままです。

 誰もが自由に使えて情報や考えを世界に発信できると謳われたインターネット。世界中、誰とでも友だちになれるというSNS。その言葉通り、ネットもSNSも世界中に普及しました。
 しかし、現実はと言えば、低レベルのネット知識と悪知恵で、世界中の人の財布の中に手を入れるありがたくないツールへと成り下がりつつあります。(水田享介)

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