生成AIブームはいまだ収まることを知らず、つい先日はアップルが自社のスマホ、iPhoneにChatGPTを搭載すると発表しました。
iPhoneにChatGPTが統合 最新モデル「GPT-4o」で応答
OpenAIアルトマンCEO「きっと気に入ってもらえる」
米Appleは6月10日(米国時間)、iPhoneなどの製品に米OpenAIのAIチャット「ChatGPT」を統合すると発表した。ChatGPTからは最新モデルの「GPT-4o」が利用可能で、音声アシスタント「Siri」などと連携する。
(ITmedia NEWS 2024年06月11日)
このサービスが始まると、スマホの使い方はどう変わるのでしょうか。まったく予想がつきませんが、これからはSNSやメッセージ、会話などが生成AIのメタデータとして使われるのだけは御免こうむりたいですね。
アップルでは安全性については自社開発の半導体を採用して3段階の安全対策を施すと説明しています。
Appleの生成AI、3段階で安全対策 クラウドにも秘匿性
(日本経済新聞 2024年6月11日)
生成AIの活用は多岐にわたり始めましたが、名古屋大学などの研究グループから生成AIの新しい利用方法の提案がありました。
偉人たちに相談だ!現代の悩みをどう解決してくれるの?
誰かに悩みを相談したい!
そんな時に、まるで歴史上の"知の巨人たち"に相談しているような体験ができるシステムが登場...。対話システム「ヒューマニテクスト」です。
古代ギリシャ・ローマ時代の古典作品のデータベースを参照してAIがさまざまな質問に即座に回答します。
(NHK NEWSWEB 2024年6月12日)
歴史上の偉人たちの英知を自分の仕事や生活に活かしたい。そう思ってもこれまでは彼らが残した言葉や著作物を読む以外に方法はありませんでした。
読むだけでも価値はありますが、なかなかハードルは高いものです。
しかも技術が進歩した現代では、偉人たちが生きた古代、中世とは違いより複雑化したものになっています。
パソコンもインターネットもスマホもなかった古代ローマ時代の人が、二千年も後の人々の悩みを理解できるでしょうか。「スマホ?それ何?」と言われそうです。そもそも時代が違いすぎると頭を抱えたりはしないのでしょうか。
ところが彼ら(偉人AI)の回答たるや、的を射たものばかりでした。
Q:こどもがスマホに夢中で勉強しない
A:「怒りや叱責で対処するのではなく、内なる穏やかさと理性を持って対応することが大切である。まず、子どもに対して過度な期待を抱かず、現実を受け入れる...」
(ローマ皇帝/マルクス・アウレリウス)
※前出の記事より引用
マルクス・アウレリウスはローマ皇帝という地位にありながら、人生について深い洞察を示した「自省録」を残しています。「100分で名著」でも取り上げられています。ローマ皇帝が子どもの勉強について答えてくれるなんて、贅沢すぎますね。
名著86「自省録」
書いたのは、第16代ローマ皇帝、マルクス・アウレリウス(121- 180)。パックス・ロマーナと呼ばれる古代ローマが最も繁栄を謳歌した百年の、最後の時代を統治した哲人君主です。
(Eテレ・「100分で名著」)
Q:禁煙が続かない。どうすればいい?
A:「汝(なんじ)の悩み、これは戦場においても同じ...。かつてわが軍が困難な状況にあっても、兵たちは決して諦めなかった。汝もまた、己の意志の強さを信じ、一度の失敗に惑わされることなく、再び挑むべきである。」
(ローマの軍人で政治家/カエサル)
※前出の記事より引用
※カエサルのイメージイラスト
「ブルータス、お前もか」であまりにも有名なあの偉大な将軍、カエサルに禁煙の悩みを打ち明けるとは。一刀両断に切り捨てられるかと思いきや、実に親身に助言してくれます。この将軍のためならと、一生ついて行きたくもなりますね。
この相談サービスのよいところはこちらの悩みを伝えるだけで、彼らの考え方を学べるというメリットがあります。
しかも、彼らの考え方を自分の悩みに当てはめるのではなく、偉人たちがそれぞれの悩みを解決するポイントを提案してくれるのです。
偉人たちがこちらに歩み寄ってきてくれている・・・そんな気分にしてくれます。
世間には数多くの生成AIが提供されているが、生成AIに人文学的アプローチがなされてこなかったことが開発の背景にあるとのこと。
こういう生成AIなら筆者は大歓迎です。本サービスはことしの夏頃に始まるそうです。(水田享介)