もし、あなたの周囲に世代の異なる方がいたら、こうたずねてみてください。
質問:「あなたの視力はいくつ?」
こうたずねられた時、「1.2」、「0.7」と数字で答える人、そしてその回答に疑問を持たない人...いますね(筆者もそうです)。
これらの皆さんはほぼ20世紀生まれの30代以上の方々となります。いわゆる21世紀生まれではない、旧世代の20世紀生まれですね。
では21世紀生まれはどう答えるのでしょう。
「ばっちり、Aです」、「Bくらいかな」・・・。
日本では、視力を数字で計る時代は前世紀で終わっています。21世紀になってから徐々に視力検査の評価は数字からアルファベットに変わっていたのです。
現在では学校の視力検査はABCDの四段階評価しかありません。そのため、30代以上の方が若者や子どもたちに視力をたずねても、互いに理解することができなくなっています。
30代以上は知らない?
学校での視力検査が「ABCDの4段階方式」に変わった理由
「最近の学校での視力検査は、『ABCDの4段階評価』になっていると聞いて驚いた」――そんな声がネット上で広がっています。「20代だけどずっとABCD方式でしたよ」
(ねとらぼ 2018年12月24日)
さらに言えば、昔からあった「C」の形が並んだ検査表はもう使われてはおらず、いまでは「字ひとつ視力表」(370(サンナナマル)方式と呼ぶ)を使うことが多いそうです。
※昔の視力検査の様子
※「字ひとつ視力表」
ちなみに、ABCD評価の基準はこうなっています。
A=1.0以上。視力は正常
B=0.7~0.9。授業を受けるのに支障のないレベル
C=0.3~0.6。授業に多少の影響あり。対策を要する
D=0.2以下。最前列でも黒板の字が読み取れない。早急な対策が必要
つまり、学校の視力検査は、授業にどの程度の支障があるのかないのかだけを調べているのです。それ以上の検査は不要と割り切った結果なのです。
たとえ、学校で視力が2.0以上あったとしても、野生動物を狩る生活をしている訳ではないので、昔からオーバースペックとして片付けられていましたね。
「チャンネルを回す(テレビ番組を変える)」、「ダイヤルを回す(電話をかける)」、「受話器を取る(電話に出る)」という例と同じく、生活行動の変化が言葉を変えていきます。
こう書いている筆者も視力検査が変わったことは、つい先日、家族から教えられました。小中学校でスポーツを教えている講師ならどの年代の方でもABCD評価は常識としてご存じとのこと。
自分では気がつかないうちに、周囲の常識は移り変わるという例かも知れません。(水田享介)