本日は、年度末最終金曜日のプレミアムフライデーですが、驚くようなニュースが飛び込んできました。
山口県下関市では公共施設などで使用するパソコンを監査したところ、サポートが終了した古いOSがいまも使われていることが判明しました。
古いウィンドウズのパソコンを14部署で使用、XPも 山口・下関市
サポート期間が終わったOSのパソコンを使っていたのは教育部教育研修課、市立歴史博物館・・・、議会事務局議事課など。より古い「ウィンドウズXP」「ウィンドウズ2000」のパソコンもあった。
(朝日新聞デジタル 2024年3月28日)
※Windows XP で動作するPC
なかには法令違反に該当すると指摘されたものが13件にも及んでいます。役所などでは民間企業に対して、最新のOS、万全のセキュリティを厳しく言い渡しており、PC環境が整わない企業は取り引きができないなどのペナルティすら科しています。
ところが公共施設の中を調べてみたところ、14部署で古いOSを使っていたのでした。
なぜ法令違反に当たるようなPC環境を残していたのか。
記事の説明ではこうあります。
【いずれもインターネットには接続されておらず、該当部署の職員らは監査人の聞き取りに「問題はない」などと回答】(同上記事より引用)
職員のこのような自己判断、都合のよいセキュリティ解釈によって情報漏洩が起きているわけですから、危機意識の欠如、無自覚の法令違反がこうした危険性の野放し状態を産んでいるわけです。
情報を盗もうとする組織は「ネット接続できる無防備なPC」を常に狙っています。人の防御意識の欠如からセキュリティのほころびは生まれることを証明しています。
※無線機能さえあれば、古いOSでもネット接続しようとする
このほかにも市の「情報検索サービス」を使えないまま放置している原因としてシステム調達に問題があると指摘。
学校設備では1台13万円もする「電子黒板」の使用率が50%に過ぎず、廊下に放置している学校すらあることを明らかにしています。
役所、公共施設、教育機関ともに、デジタル化、デジタル教育への取り組みが遅れており、税金を投入したデジタル機器が活かされていない実態が明らかとなりました。
先日(2024年3月25日)のコラムでご紹介した「徳島県教育委員会のタブレットの故障問題」と同様、公務員のデジタル教育がいまだ整備されず、なんとなく機材を導入し、なんとなく使える人だけが使っているのが現実でしょう。
デジタル教育を受けずに、高い職位を持ち決定権を与えられる公務員が多すぎるため、行政執行で間違いを犯すことが多いのもうなずけます。
こうした現状を改めるには、公務員への統一した高度なデジタル教育がいま求められています。(水田享介)