「できる!」ビジネスマンの雑学
2024年03月11日
[871]AIに最速で駆逐された職業のちょっと悲しい話

 人類の文明の歴史をひもとくと、古くは農耕の開始に始まり、文字の発明、鉄器の発明といった諸革命が起きるたびに、私たち人間の生活様式は一気に様変わりしました。

 そして、18世紀に入ると木炭、石炭、石油、太陽光発電などの電気といったぐあいに、数十年おきに起こるエネルギー革命により、人間社会はめまぐるしい変貌を遂げてきました。

 このような革命的事件が起こるたびに、労働者たちは職を奪われる恐怖を味わってきたことはよく知られています。18世紀の産業革命の際に「ラッダイト運動」という抵抗運動があったことは有名です。

 これまで永久に続くと思われていた業務がいきなり機械に置き換わり、明日から来なくていいよと通告されるわけです。誰しもそんな目に遭ったら、その機械を破壊したい衝動に駆られることは理解できます。

 そして、2022年末、ChatGPTを代表とするAIテクノロジーがわたし達の生活にふかく入り込み始めました。

 AIが普及したらどんな仕事がなくなるのでしょうか。この手のニュースをよく見かけるようになりました。

AIに代替されると思う職業 2位「店員」、1位は?
AIに代替されると思う職業を聞いたところ、「財務・会計・経理」(23%)と答えた人が最も多かった。
ITmedia ビジネスオンライン/コネムラメグミ 2023年06月04日

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※IT系ラッダイト運動(イメージ)

 サポートセンター、経理、店員、運転手・・・。AIが自然な会話で回答するサポートサービス、会計ソフト、自動レジ、自動運転など、いずれもすぐにも実用化しそうか、すでに実用に入っている仕事ばかりですね。

 ところで、AIのおかげで鳴り物入りで登場した新事業・新職業が、あっという間に廃業に追い込まれつつあることはご存じでしょうか。

AIを操る「プロンプトエンジニア」がAIによって駆逐されつつある
・・・モデルやデータセットなどによって変化する「適切なプロンプト」を見つけ出す専門家としてプロンプトエンジニアが登場しました。
しかし、2024年2月20日に発表されたリック・バトル氏とテジャ・ゴラプディ氏の論文によって、AIによるプロンプトエンジニアリングが極めて効果的である事が示唆され、プロンプトエンジニアという職業がAIに取って代わられる可能性が表面化・・・。
Gigazine 2024年03月08日

 「プロンプトエンジニア」、「AIプロンプター」という職業は、これからのAIには必須であると、インタビューに誇らしげに答えていたアメリカ人を、筆者はテレビで見た記憶があります。

 そのとき筆者が思ったのは「ちょっと危うい職業だなぁ」という感想でした。プログラムやスクリプトを仕事にしていた人間なら、数日もあれば身につけられそうな仕事にしかみえませんでした。
 その当時からプログラムの改良にAIを使ったり、簡単なスクリプトならAIに書かせてみることは行われていましたから。

 結果的に、AIに必須の仕事のはずが、AIがその仕事すら奪ってしまったのです。

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※仕事を奪われたネコ(イメージ)

 「ラッダイト」しようにもAIは物理的な形のないものですから、打ち壊すことすらできずに「プロンプトエンジニア」は終焉を迎えそうです。これからの失業者はその怒りすら持って行きようのない時代になったということでしょうか。(水田享介)

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