最近の流行りでしょうか。将来予想される社会問題を「202X年問題」と年号だけで表す表現が増えています。
たとえば、2024年問題。もう来月(来年)の問題になりますが、筆者は最初に聞いたとき、何のことやらサッパリわかりませんでした。でもわかる人にはピーンとくる年号のようです。
2024年問題とは、物流が滞りこれまで常識と思われていた翌日配達などの迅速な配送ができなくなること。
その原因となるのが、運送業界に取り入れられる「働き方改革」です。ドライバーの労働時間に上限が設けられ、無理な働き方で支えられてきた配送はもうできなくなります。
これは運送業界で働く人には朗報ですが、いつ届くのかが不確実になるという面もあります。
これからは配達にかかる時間を計算して、余裕を持った出荷が求められると言うことです。「なるはや」が死語になる日も近いですね。
ところで、202X問題は来年以降も目白押しですが、ご存じでしょうか。
2年後には、2025年問題があります。これは日本が「本格的な超高齢化社会に突入する」年です。いわゆる団塊の世代(1947~1949年生まれ)の800万人が75歳以上になることから、こう呼ばれています。
2025年はもうひとつ、重要な問題があります。
それは、昭和100(百)年問題。
昭和元年は1926年12月25日からたった1週間でした。今年、2023年は昭和98年、2024年は昭和99年となり、2025年は昭和100年。
昭和100年の何が問題なのでしょうか。とっくに存在しない昭和を数えても意味はないはずですが・・・。
しかし、実は意味があるのです。昭和時代に開発されたプログラムが、いまもそのまま社会インフラで使われているケースは多々あります。
そのプログラムがもし昭和で年をカウントしていて、うっかり二桁しか割り当てがないとどうなるでしょうか。
二桁しかない数字枠に三桁の100(昭和100年)は入りません。自動的に00、もしくは01が入り、時間がリセットされてしまいます。この仕組みは2000年問題の時と同じです。
リセットしたあとシステムがどう動くかは誰にもわかりません。思いがけない動きをして、交通、通信、電気、ガスなどのインフラの動きがおかしくなるか、完全に動作をやめてしまうかもしれません。
筆者の予防策としては高額な誤請求が来ないか、2025年の間は公共料金の請求書を見張っておこうと考えています。
改元対応よりも大変? IT業界でうわさの「昭和100年問題」とは
昭和の時代に導入したコンピュータシステムが、「年」の処理を正常に扱うことができず、2025年に誤作動を引き起こすのではないか――という問題だ。
(ITmedia NEWS/山崎潤一郎 2019年03月06日)
当たり前のように動いている社会システムですが、まさか昭和100年までこのまま使うはずがないという、開発当時のプログラマーの思い込みがいま、恐怖の元となっているのです。
最初からプログラムの年月カウントを西暦に統一しておけばいいのに、と誰しも思う所でしょう。しかし西暦を統一したところで、問題はいっこうに解決しないのです。
なぜなら同様の問題は西暦にも存在しており、それは2036年に起こる可能性があります。これは「1970年1月1日0時0分0秒」基準(この日時が0スタート)のネットワークタイムプロトコル(NTP)が32桁を上限としているため、2進法で数えて「2038年1月19日3時14分7秒」以降はリセットがかかり数字のゼロとなり、1970年1月1日に戻ってしまうのです。
これが2036年問題です。
202X問題について調べてわかったことは、コンピュータ業界は考えていそうで、実は刹那的に生きているのかなということでしょうか。(水田享介)