わたくし事ですが、筆者は九州北部に生まれ育ちましたが、大学進学のため東京に引っ越すと、そのまま東京で就職して現在も東京在住です。
実は、筆者が上京した1970年代、すでに東京にはかなりの人数の親類縁者があり、東京の大学に進学する以外、選択肢はなかったともいえます。
今では、関東特有のしょう油味の効いたそばやラーメンにも馴染み、ワサビと紫でいただくにぎり寿司、ごま油の香る天ぷらを好むまでになりました。
最近、九州の食文化に「博多のうどん文化」がすごいとネットで見ることがありました。
その名も「牧のうどん」。
シンプルな名前ですが、いまや福岡県一帯に支店を置く有名なうどんチェーンのようです。福岡県民はみな、牧のうどんの虜になっているとも聞きました。
今月(2023年11月)、九州時代の同窓会出席のため佐賀に出かけた折、せっかくなので博多駅そばの牧のうどんに入ってみました。
博多バスセンターの地下にあるその店は、パチンコ台を取り去ったパチンコ店内さながら。7人掛けの横長のカウンターが十数列も並んでいるのですが、お昼前というのに客でぎっしりでした。
食券を買って座るとすぐに店員がやってきて「固さは?」と聞きます。とりあえず「普通で」と答えると、なにやら食券に記入して注文は完了。
※やわ・中・かた と謎のメッセージ入り食券
ほどなくやってきたトレーにびっくり。うどんがこれでもかとばかりに盛り上がってます。そして、頼んでもいないアルミのやかん。これは何か?
※初体験。謎のやかん
左隣の娘はやかんから何かをレンゲに注いでちびちび飲んでる。右の兄ちゃんは柔うどんにどぼどぼ継ぎ足し。筆者はうどんにかけるとさらにうどんが増えるだけと判断して、かやく飯にかけて茶漬けにしました。
初めての牧のでしたが、やわらかうどんのヤワ度はすごいのひと言です。こんなに柔らかくてもちゃんと麺として存在していて、さらにダシを吸い続けてどんどん太くなるのです。確かに置いておくだけでかさが増えるのがわかります。
牧のうどんの詳細なレポートはこちら。
福岡の「うどんのはなし」。第三回「牧のうどん」
「牧のうどん」の個性はなんなのか。ちょっと頭に考えを巡らせると、すぐに「増える」「ゆで具合が選べる」「釜揚げスタイル」というキーワードが思い浮かびます。
(コロカル・マガジンハウス/ヌードルライター・山田祐一郎)
筆者は小中学生の頃、鳥栖駅の柔らかうどんになれていましたが、それでも牧のうどんの「やわさ」は衝撃でした。普通茹でを頼んでもこの柔らかさ。これより下の「やわ」はいったいどこまでやわらかなんでしょうか。
その一方で、とんこつラーメンは「バリカタ」と硬い麺を好むのですから、博多人の相反する嗜好がわかりません。
牧のうどんは開業は1976年とのこと。筆者が九州を離れた後にできたから、なじみがなかったのも頷けます。
食べても食べても減らない牧ののやわらかうどん。満腹すぎて、博多最後メシになってしまいました。あぁ、九州の締めはごちそうを食べたかったのに。
最後に、筆者の舌で判断したうどんの固さレベルを書いておきます。おいしさのレベルではありません。
うどん固さレベル
(←固)武蔵野うどん>吉田のうどん>讃岐うどん>甲州ほうとう>稲庭うどん>鳥栖駅うどん>牧のうどん(柔い→)
そういえばまだ「山田うどん」で食べたことはありません。近所にあるけれど・・・。固い?柔?どっち?東京育ちの家族は行ったことないというのは、あれは「埼玉のうどん」なので東京の人間は行かないみたいですね。郷土食は難しい。(水田享介)