いま、Eテレでひそかな人気を集めている番組をご存じでしょうか。
食べ物を扱った番組ですが、民放でさんざん放送して、いささか食傷気味の食レポではありません。そこはEテレ、こだわりの番組作りが光っています。
ずばり、お米にスポットをあてた異色番組、「 趣味どきっ!ニッポンのうまい米 」です。
「 趣味どきっ!ニッポンのうまい米 」
https://www.nhk.jp/p/syumidoki/ts/5N8N91PYV7/episode/te/MV153VJ8R6/
放送時間:毎週火曜日・午後9:30~9:55
再放送:翌週火曜日・午後0:15~0:40
筆者はこれまで、ごはんにさほどこだわりはなく、そのときどきにセールになるお買い得の米を買っていました。あるとき、九州の友人から佐賀のお米を送っていただき、米に対する認識が一変しました。まさに目から鱗が落ちる体験。
ごはんの一粒ひとつぶが大きく、しかもおいしい。粒が立っている。そのお米の名前は「さがびより」。東京のスーパーではお目にかかることのないブランド米です。
「さがびより」はいま九州では人気のお米のようです。調べてみるとたしかに、ふるさと納税の返礼品にも数多く採用されています。
このことがあってから、筆者はスーパーのお買い得米を探すのは控えて、銘柄米を食べ比べるようになりました。
我が家で食べることの多かった埼玉、千葉といった関東圏産のお米以外にも、北海道の「ななつぼし」、「ゆめぴりか」、山形の「つや姫」、「雪若丸」にもチャレンジしました。
しかし、正直に言うと、味の差がいまいちわからないというのが実感でした。そんなときに役立ったのが「 ニッポンのうまい米 」の情報です。
お米の特徴やどんなおかずと合うのか。また、炊き方の工夫しだいでお米のおいしさや特性がより引き立つことを知りました。
全国各地の銘柄を毎週紹介しているのですが、生産現場の声もしっかり入っています。栽培の苦労やおいしい銘柄を作る責任感やプライドなど、生産者のこだわりについて知ることで、食べてみようという気持ちにさせてくれます。
また、新品種誕生までのながい道のりは、過去の銘柄を引き継いで生まれる過程であり、それは競走馬の血統を思わせます。
銘柄米がつぎつぎと誕生する昨今、もう名前だけで選べる時代ではなくなっています。 この番組を見ていると、おかずを選ぶ以上にお米も選んでみたくなります。そのことは食生活をさらに豊かにしてくれるでしょう。
この原稿を書いている最中、今朝(2023年10月30日)のニュース「おはよう日本」の中で、興味深い話題を取り上げていました。
「ごはんの辞書作り」を農研機構が始めていると紹介していました。これまで主食であるごはんの味を表現する言葉が日本語には少なかった。米の品種が900種類を越えるこんにち、もっと味の違いを的確に区別できるような単語、言い回しなど、新しいごはん表現を作りだし、食味表現の幅広げようとする活動だそうです。
(研究成果) ご飯のおいしさを表す言葉をリスト化しました
米飯の食味や食感を表す言葉を広く収集・整理して、約100語から成る用語リストを作成しました。このリストは、さまざまな米飯の品質を詳細に評価する際や米の品種や炊飯方法などによるおいしさの違いを具体的に伝える際の参考資料...。
(農研機構/伊藤忠食糧株式会社 2023年8月23日)
この活動の意味はフランスワインのテイスティングが参考になると思います。ワインと味の表現には、フルーツやナッツ、いろいろなハーブ、時には肉や油、室内の雰囲気や身につけている衣服など、味覚に限らず触覚や匂い、想い出など、表現の幅は無尽蔵ですが、けっしておかしくはありません。
ワインをただ生産するだけでなく、味わいを言葉にして表現することがフランスワインを世界一流の地位に押し上げたのでしょう。
おそらく、お米に関してもワインくらいの表現力を獲得すれば、国内のお米消費量も増えるかもしれません。
今年の夏は酷暑だったせいで、一等米は少なく二等米がほとんどと言われています。しかしその違いは見た目だけのことで、食味はそう変わらないそうです。
お米売り場にでかけるなり、返礼品を選ぶなり、また通販サイトを覗くなりして、全国各地のブランド米からあなたに合った銘柄を見つけてみてはいかがでしょうか。(水田享介)
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「趣味どきっ! 放送予定」
https://www.nhk.jp/p/syumidoki/ts/5N8N91PYV7/schedule/