松山市にあった「バー露口」のマスターが先日逝去されました。享年86歳。昨年の9月には店舗も閉店していました。
露口マスターの訃報を知った筆者は、この店に40年近く通っていた松山の親友にすぐに連絡を取ったところ、夫婦でお通夜に出席すると返事かありました。
昨日、NHKニュースで続報が流れ、葬儀ではいつものハイボールが弔問客に振る舞われたそうです。
粋ですね。マスター
松山の"ハイボールの聖地" 「バー露口」をしのんで
「ハイボールの聖地」とも呼ばれた松山市の「バー露口」の店主、露口貴雄さんが19日、86歳で亡くなりました。露口さんをしのんで、1年前、閉店した際に公開した記事を再掲します。
(NHK WEBニュース特集 愛媛インサイト・松山放送局 2023年9月20日)
筆者は「バー露口」にはたった一度しか訪れていませんが、初見の客にも優しく居心地のよいバーでした。前出の親友に連れられて行ったおかげでしょうか。それでもママの気持ちのよい接客にはもう一度行ってみたいと思わせる魅力がありました。
※筆者撮影
あの重厚なカウンターで、子規のこと漱石のことなどの話をした時間はかけがえのない体験となりました。
※筆者撮影
[313]猫のこと、漱石のこと、子規のこと
四国・松山に育った子規から見ると、漱石は江戸生まれ、東京育ちの都会っ子ですから、何でも知っているやつと心の中では恐れがあったかもしれません。ところが、その漱石は高等中学(のちの旧制の第一高等学校)に通う秀才にもかかわらず、毎日食べているご飯がどうやってできているかを知らなかったのです。
(2016年11月04日)
https://www.asuka-g.co.jp/column/1611/007970.html
※イラストは筆者
今年4月、筆者は取材旅行のついでに松山を再訪しましたが、時既に遅し。明かりの消えたバー露口の前に立ち尽くすほかありませんでした。
もしコロナ禍がなければ、あと2、3回は通ったでしょう。
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コロナ禍を経て、わたしたちはこれまでになかった奇妙な習慣を身につけた気がします。
それは「わざわざ足を向けずともネットで事足りる」、「行かなくて済むなら出かけない」、「外出はムダな出費につながる」、「会いに行かなくてもメールやSNSで用は足りている」、などなど。
節約、倹約は悪いことではありませんが、度を過ぎたコストカットは社会を悪い方向に向かわせかねません。
サンフランシスコが陥った負の"スパイラル"
・・・サンフランシスコのオフィスの空室率は31.6%で過去最高を記録。2020年の実に8倍近くにあたり、全米の主要都市で最悪の水準です。
コロナ禍に苦しんだのは世界の各都市も同じなのに、なぜサンフランシスコがこれだけ突出しているのか。ヤスコウチさんはサンフランシスコ特有の事情がある・・・。
(NHK国際ニュースナビ 2023年9月26日)
街を作り発展させるのは人ですが、一軒一軒の店舗、オフィスも街を形作っている。コロナ禍はそのことを教えてくれた気がします。
昭和、平成、令和と引き継がれてきた「バー露口」。わたしたちはこれからどんな名店を誕生させることができるでしょうか。(水田享介)