国立公文書館では過去に開催した展示をデジタル展示として公開しており、いつでも無料で閲覧ができます。
今回筆者が注目したのは、平成28年度の特別展「徳川家康」です。
現在、NHKで放映中の大河ドラマ「どうする家康」も佳境に入っています。秀吉VS家康の政争、豊臣家の命運を握るキーマン(ウーマン?)茶々の登場など、目が離せません。
じつはこうした歴史のすべては古文書に記録されたことで今日に伝わり、ドラマとなっています。
その原典となった古文書の数々は江戸幕府から明治政府、そしていまの日本国政府に伝えられ、現在は国立公文書館に収蔵されています。
徳川家康に関する古文書を家康の生涯にそってまとめたのが、今回ご紹介するデジタル企画です。
「徳川家康 -将軍家蔵書からみるその生涯-」
家康の誕生から没後まで、徳川家康の様々な事績や逸話を、当館所蔵資料からご紹介しました。デジタル展示「徳川家康」は平成二十八年春の特別展「徳川家康」を再編成したものです。
(国立公文書館/デジタル展示「徳川家康」より引用)
https://www.archives.go.jp/exhibition/digital/ieyasu/
江戸時代の最高権力者のことばが残されている古文書からは、家康という人間そのものの有り様が見えてきます。
その中でも注目されるのは、家康が理想とする女性像です。「家康をとりまく女性たち」の項では、家康が心に思うさまざまな女性観が記録されています。
「戦国の時の女は、今時の男子より、かいがい敷(しく)働あり」
-披沙揀金(ひさかんきん)-
家康が言うに「平和な時代の今どき(江戸)の男より、戦時中(戦国時代)の女性の方がよっぼど頼もしく働くものだわい」(筆者現代語訳)だそうです。
昭和の時代にも、戦中派、戦後世代などとひとを区分けして議論する風潮がありました。それと同じ事が17世紀の江戸時代でも行われていたのでしょうね。
家康が側近達の前で側室のお梶の方(英勝院)と交わした「美味しいもの不味いもの談義」は、なかなかの含蓄話ですが、見方を変えると仲むつまじい男女ののろけ話にも読めます。
-故老諸談(ころうしょだん) -
お梶の方について、詳しくはこちら
関ヶ原の戦いにも同行!徳川家康に愛された36歳年下の「お梶の方」。その思いとは?
...彼女がどれほどの寵愛を受けたかというと。あの天下分け目の戦いといわれた「関ヶ原の戦い」の陣中にも馬に乗った彼女の姿があったとか。
(和楽/Dyson 尚子 2021年2月3日)
変体仮名、草書ばかりで読めないという方もいるかと思いますが、なかには美しいさし絵もあります。
※天保巡見日記(てんぽうじゅんけんにっき)
※日光巡拝図誌(にっこうじゅんぱいずし)
徳川家康が生きた時代をそのまま伝える古文書を読んで眺めて、江戸時代に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。(水田享介)
-----------------------------
国立公文書館・公式サイト
https://www.archives.go.jp/
Copyrightc 2018 NATIONAL ARCHIVES OF JAPAN. All Rights Reserved.