筆者は先月の7月、法事出席のため東京から九州まで新幹線を利用しました。ちょうど台風6号が沖縄付近に停滞しており、航空便の利用を回避したためでした。
JRで指定券を買うなら「みどりの窓口」しかないだろうと最寄りの駅まで出かけた筆者は、驚きの光景を見ることになりました。
改札口そば、いつもの場所にあるはずの「みどりの窓口」がない。ガラス張りの窓口は、天井まで届く板で塞がれていました。工事中か何かか?
予約を書く記入台も小さくなり、切符申込書もありません。
いつも二冊は置いてあったはずの時刻表すら見当たりません。
事務所の中に声を掛けたところ、みどりの窓口は終了しました。でも「話せる指定席券売機」を設置しましたので、そちらでどうぞ、とのこと。
言葉はていねいでしたが、対面での切符購入はあきらめてください感を強くアピールしていました。
筆者はシステムの設計や運用を生業(なりわい)としていた関係で、タッチパネル操作に不安をもったことはありませんが、処理速度の速さから「話さなくてもよい券売機」、いわゆる通常の券売機で新幹線の予約を始めました。
操作を始めてすぐに事務所から若い駅員が現れて、「話せる券売機」は隣ですよ、と案内してきました。 急いでいるので話さない券売機でいいよと返事をしましたが、駅員はそれにかまわず、どちらまで?と問いかけてきます。
仕方なくその質問に答えていくと、駅員はどんどんタッチパネルを操作して、ついに最終目的地までの乗車券と特急券の選択を終わらせました。
あとは表示された金額を挿入すれば、切符の購入は完了です。
うーむ、これって「操作代行の券売機」か、出張り形式のみどりの窓口ではないか。
人件費節約が目的ならば、駅員が券売機に現れてタッチパネル操作するのはどうでしょうか。
頭の中に「?」を持ったまま、駅を離れました。
あとでこの顛末を家族に話したところ、「券売機の見分けも付かず操作にも慣れない不安そうな客」に見えたのではないかと笑われました。
確かに切符の買い間違いが起きると、切符の払い戻しと買い直しで手間が増えるだけですから、駅員が飛び出してきたのにも一理あります。
「乗りものニュース」の記事によると、おととしから「みどりの窓口」の削減とその代替えとなる「話せる券売機」の設置は進んでいたそうです。
JR東日本「みどりの窓口」設置駅を7割削減へ
「話せる券売機」などに役割を移行
きっぷを窓口で購入する風景も、過去のものになりつつあります。
2020年度の実績では、近距離きっぷ購入以外の利用で、みどりの窓口を利用する客の割合は、全体の2割にとどまっていました。
「みどりの窓口」の設置数は2025年までに、首都圏では現在の231駅から70駅程度、地方圏では現在の209駅から70駅程度に削減する予定・・・。
(乗りものニュース編集部 2021年5月11日)
新幹線の切符購入ですぐに「みどりの窓口」を思い浮かべた筆者は、すでに過去の人になっていたようです。
皆さんも最寄りのJR駅の「みどりの窓口」がどうなったのか、「みどりの窓口」はどの駅に集約されたのかを調べておくことをおすすめいたします。(水田享介)