とあるサイトで郵便を出したことのない新人達が、封筒を前に悪戦苦闘する様子が紹介されていました。
【じわじわ進む「郵便離れ」】切手の貼り方や貼る場所がわからない
若手社員は「これ、なめるの?」と困惑
「切手の裏にのりがついていることを知らない人がいるんですよね。のりがないというので、『濡らしたら?』と言うと、すごく驚いていました。その場にいた50代の男性の同僚が『なめてもいいよ』と教えると、・・・。
(マネーポストWEB 2023年8月6日)
大人の社会常識や会社の常識を知らず、新入社員が職場で戸惑う姿はマスコミの格好の材料のようです。
しかし、郵便制度はいまでも社会常識でしょうか。
いまや通信のほとんどはショートメッセージなどのSNSで済む時代です。わざわざ紙に用件をプリントして封筒に入れたうえ、切手代まで払って相手に届けることにどんな意味があるのでしょう。
最近では通常のハガキや封書は相手に届くのに数日~一週間はかかるようになり、以前のような利便性は失われています。
そうした疑問をよそに、郵便のルールを知らない若者の姿がおもしろおかしく描かれています。
「切手の料金が大きさ重さで変わることを知らない」と書かれていますが、筆者の知る限り、ビジネス文書では基本料金をはみ出るような重さにすることはほとんどありません。
郵便料金の仕組みを知らないと言えば、筆者がよく使う郵便局も基本料金以外の郵便の扱いを知りません。
以前、植物の苗を郵便で送る「第四種郵便」を持ち込んだところ、30分以上も待たされました。郵便局内では自己解決できず、本局に問い合わせてやり方を聞いたようでした。結局、郵便を出すだけで40分以上もかかってしまいました。
別の日には「着払いで最も安い郵便で出したい」とお願いしても、ゆうパック着払い以外の方法を知らず、こちらからやり方を教えざるを得ませんでした。
新入社員の若者が世間の常識を知らないから・・・という論調で、この切手の貼り方を話題にする時代ではすでになくなったと筆者は思います。
業務でいまだに郵便を使うのであれば、入社時にしっかりと教えておくべきで、それを企業が怠った結果が新入社員に出ているだけです。
わたしたちの常識とは常に流動しています。構造改革の波の先端にいるのが若者達です。かれらが持ち込む社会常識から今様の常識を学び、社内に残る古い常識を見直すことを企業や大人たちは求められているのです。(水田享介)