「ふふふ、越後屋。お主も悪よのう」

　テレビなどの時代劇で悪代官と御用商人のこんなやり取りを見聞きした方も多いことでしょう。

　ただ、このような密談があったことを示す古文書はいまだ出てきていません。どうやら悪代官も越後屋も現代のシナリオライターが創作したものだったようです。



　ところで、｢越後屋」という豪商が江戸時代に実在していたことはご存じでしょうか。

　現在では日本を代表するデパート、「三越」に姿を変えていますが、江戸時代初期に創業した頃は「越後屋」という呉服屋でした。

　三井記念美術館では三井グループ３５０周年記念事業として「三井高利と越後屋」展－三井家創業期の事業と文化－を、８月31日まで開催しています。

　三井両替商の「大福帳」や「唐物肩衝茶入」（重要文化財）など、江戸由来の貴重な品々を一堂に展示。また、当時の越後屋が商う様子が色鮮やかに描き出された浮世絵もお目見えします。

　先物取引、為替などを誕生させたのは江戸時代の商人達でした。いまでは江戸時代の商業が、世界的にもっとも進んだビジネスモデルであったことはよく知られるところです。

　越後屋の本当の姿、世界をリードした江戸のビジネススタイルなど、興味の尽きない展示となっています。（水田享介）



[開催期間]６月２８日～８月３１日
[休館日]月曜日（ただし８月１４日は開館）
[開館時間] 10：00～17：00
[入館料]一般：1,000円／大学・高校生：500円／中学生以下無料（割引制度各種あり）
[所在地]東京都中央区日本橋室町２－１－１　三井本館７階
[お問い合わせ]０５０－５５４１－８６００（ハローダイヤル）
[URL] https://www.mitsui-museum.jp