どの家庭にも一枚はあるプラスチックまな板。丈夫で洗いやすく清潔。大きさも形状も多彩で使いやすい工夫が随所に施されており、台所では手放せない存在となっています。
ところがこのプラスチックまな板。とある疑惑が持ち上がっています。
それは「マイクロプラスチック」問題。人類がプラスチック製品を使い始めて以降、粒子状のプラスチック片が地下水、海水、河川、土壌など世界中にまき散らされています。しかも自然界では分解せずそのままいつまでも残り続けます。それを捕食した魚や家畜に蓄積され、めぐり巡って食材に含まれたマイクロプラスチックは、最終的に人間の体にも蓄えられていくのです。
この研究は始まったばかりで、人体にどのような影響を及ぼすのかまだはっきりとした結論は出ていません。
この問題に取り組むアメリカの大学で、プラスチックまな板について同様の現象が起きていないか、実験をしたそうです。
プラスチックのまな板を使うと「年間7000万個以上のマイクロプラスチック」にさらされる可能性があるとの研究結果
プラスチックでできたまな板で食べ物を切ると、大量のプラスチック粒子が発生してしまう可能性があることが、新しい研究により判明・・・。
(Gigazine 2023年7月2日)
研究チームの実験では、年間1450万~7190万個(ポリエチレン製)から年間7940万個(ポリプロピレン製)のマイクロプラスチック粒子が、まな板上に散らばるとのことです。
まな板で調理する肉や野菜にも、その粒子が大量に付着することは言うまでもありません。
ただし、繰り返しになりますがプラスチック粒子が人体に悪影響を及ぼすかどうかはまだ未知数です。
まな板を使用すると、その材質の微粒子が大量に発生することが確かめられましたが、健康への影響は未知数です。研究チームは、マウスの細胞をマイクロプラスチックと木材の微粒子に72時間さらす毒性試験も行いましたが、この実験では有意な差が見られませんでした。
(Gigazine 同上記事より)
なお、木製のまな板でも測定したところ、木材の微粒子がプラスチックまな板にくらべて4~22倍が放出されていたそうです。
※日本橋・木屋の包丁といちょうのまな板
アメリカの大学の測定ですから、アメリカで手に入る木のまな板になります。どんな素材でどの程度の品質だったのでしょうか。プラスチックまな板と値段が違わない安価なものだとすると、木材の微粒子が大量に出たのは仕方がないと思います。
できることなら、桐・いちょう・ひのきなどの素材で、厚さ2センチ以上の木のまな板でもう一度調べ直していただきたいものです。(水田享介)