「できる!」ビジネスマンの雑学
2023年06月09日
[802]♪それにつけても・・・、松山市にふるさと納税の救世主、現る

 ふるさと納税といえば、かつてはギフト券や和牛などの高額な返礼品が話題になり、いつしか採算度外視の返礼品競争に陥りました。その結果、返礼額に上限規制がかかるとともに返礼品は地元産限定となりました。

 昔から有名な名産品がある自治体なら産地規制を気にすることはないでしょう。しかしこれといって特産品がない市町村はアピールに苦労することは目に見えています。

 愛媛県松山市といえば、小説「坊っちゃん」や道後温泉で有名で、誰もが知る観光地。市街地を路面電車が走り、中心部には江戸時代からのお城が残るちょっとレトロな街です。ところが小説も温泉も城も返礼品にはなりにくかったようです。瀬戸内の海産物や柑橘類を揃えてはいましたが、伊予松山という全国区のネームバリューを生かし切れないもどかしさの残る品揃えでした。

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※商店街から望む伊予松山城

 ところが、あったのです。松山市にしかできないホームラン級の返礼品が。

返礼品はおやつの「カール」 松山市ふるさと納税に申し込み殺到
「♪それにつけてもおやつはカール」・・・全国で唯一カールの製造工場がある松山市が今春、ふるさと納税の返礼品に加えたところ、申し込みが殺到・・・。
毎日新聞 2023年5月29日)

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※筆者の自宅にあるカールの在庫

 松山市の公式サイトで、昨年に返礼品として登場すると、あまりの好評ぶりに今年の4月からは公式返礼品として登録されました。

ふるさと納税の返礼品に「カール」を登録しました
松山市にある四国明治松山工場は、全国で唯一、株式会社 明治のスナック菓子「カール」を製造しています。
去年は松山城と道後温泉本館をデザインしたオリジナルパッケージの「カール」を販売し、大変好評でした。
松山市・公式サイト 2023年4月26日)

 カールが東日本で販売されなくなったのはいつごろでしょうか。。報道によると、2017年に全国5カ所の工場のうち4カ所で生産終了。松山工場のみが残りました。

明治「カール」、東日本での販売終了へ
明治は25日、スナック菓子「カール」シリーズの販売を東日本で終了すると発表した。主力の坂戸工場(埼玉県坂戸市)など全国5カ所の生産拠点のうち8月中に4カ所で生産を終了し、子会社である四国明治(香川県三豊市)の松山工場(松山市)1カ所に縮小して西日本限定で販売する。
日経電子版 2017年5月25日)

 東京のスーパーからカールが消えた後、筆者の家庭では関西に住む親類に頼んで、定期的にカールを送ってもらっています。
 筆者の家族が言うには、「生活に欠かせないお菓子ではないが、まったくないのも困る」という微妙な距離感-、こういう気持ちが関東圏の人々の心に渦巻いているのでしょうか。2017年以降、途切れることなく西から東へカールの段ボールが移動しているのです。

 筆者の記憶でも、コロナが始まる前から関西圏の新幹線や空港の売店で、カールが山積みになって売られていました。誰もがうすうす感づいていたのです。関東ではカールが不足していると。

 松山市ももう少し早くカール不足に気がついていれば、ふるさと納税を強力にアピールできたことでしょう。全国唯一の生産地という地の利を活かして、これから巻き返すしかありません。

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※松山市のカールの品揃え(ふるさとチョイスより)

 今のところ、「チーズあじ」は品切れ中、「うすあじ」は受付中です。ふるさと納税をして、なつかしいカールの味を楽しんでみてはいかが。(水田享介)

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