「できる!」ビジネスマンの雑学
2023年03月06日
[776]少年はトロッコに乗って・・・。

 なぜかしら郷愁を誘う響きを持つことば、トロッコ。昭和生まれの筆者ですがこれまで一度もトロッコに乗ったことはなく、その懐古的イメージの源は、小学生の頃に小説『トロッコ』(作:芥川龍之介)を読んだからかもしれません。

 芥川龍之介が『トロッコ』を発表したのは1922年(大正11年)。今年で101年目になりますが、少年と労働者のやりとり、機械への興味、古里から遠ざかる怖れが凝縮された短編は、今も色あせない名作です。

『トロッコ』(作:芥川龍之介)-青空文庫-
https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/43016_16836.html

2023030601.jpg

 EVカー、自動運転車、空飛ぶ自動車など多様な移動手段が誕生し、モビリティ社会の幕開けとなった現代、もはやトロッコなどの居場所はどこにもなさそうです。

 ところが昨年秋、島根県の廃線跡地で新作トロッコを使った試験走行が行われました。

江津 廃線の旧三江線(※)の線路で高校生が自作トロッコを試験走行
4年前廃線となった、JRの旧三江線に自作のトロッコを走らせようと、江津市の高校生が製作を進めていて、28日、線路上で試験走行を行いました。
島根 NEWS WEB 2022年10月28日)

※三江線(さんこうせん)とは。2018年に廃線となったJR西日本の鉄道路線。島根県と広島県三次市(みよしし)を結ぶ単線非電化の路線でした。沿線には世界遺産に登録された石見銀山もありましたが、乗客の減少や高速道路が整備されたことなどから廃線が決まりました。

 ニュース映像では確かにトロッコですが、ゆっくりと走るただの四角い箱でした。その後、どうなったのか気になった筆者が検索したところ、新しい新聞記事を見つけました。

廃線にトロッコでにぎわいを 江津工生徒
 モーターと、軽自動車用のバッテリーを搭載。試運転の後、よりスピードが出るようにモーターを取り換え、長さ2メートル、高さ1・8メートル、幅1・4メートルの屋根付きトロッコが完成した。
朝日新聞デジタル/小西孝司 2023年2月4日)

 電動トロッコは無事に完成して、美しくカラーリングされ屋根までつけて地元住民団体に寄贈されたようです。
 「最初は学校の課題だからやっていた。溶接も初体験だった。」と消極的だった学生達も、トロッコが地域の人の心を動かしたことで物作りに手応えを感じ取ったようです。

 さて、関東の近場にトロッコはないかと探したところ、ありました。千葉県の五井から養老渓谷を経由して上総中野まで走る小湊鐵道では、トロッコ列車を、2023年3月18日~5月28日まで運行しています。路線は五井から養老渓谷まで。(※運転日とダイヤはサイトでご確認ください。)

房総里山トロッコ 東京日帰り里がえり
小湊鐵道

 屋根はガラス張り、窓なし、木の椅子の仕様。天気の良い日は最高の乗車体験ができそうです。(水田享介)

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