松重豊さんといえば、テレビ番組「孤独のグルメ」シリーズでひとり淡々と黙食を披露する役者さんとして知られています。ただ、テレビ東京系列のため全国の方に知られてはいなかったようです。
そんな松重さんですが、今年のNHK大河ドラマ「どうする家康」に満を持して登場しています。準主役級(?)の石川数正役として。
顔がわからないと言う方は、松潤(松本潤さん)のそばで「ひとりだけ背が高い武将」を探してください。
それが松重豊さんです。
筆者は十年以上前からの「孤独のグルメ」の視聴者で、「英雄達の選択」(NHKBS)では重厚なナレーション、「きょうの猫村さん」(テレビ東京)ではネコの家政婦姿に親しんできました。
役の上での活躍は拝見していましたが、個人的な話が余り出てこない少し謎めいた役者さんでしたが、このたびNHK長野放送局でめずらしいインタビュー記事を見つけました。
松重豊さん「どうする家康」石川数正役 ドラマと長野県を語る
数正はカミソリのような切れ味鋭い頭脳の持ち主で、家康に遠慮なく正論を進言することができる武将としてドラマでは描かれています。
実は数正は国宝・松本城を築城し、初代城主にもなっています。
松重さんに数正や大河ドラマ、そして長野県のこと聞きました。
(川口由梨香)
(NHK長野WEB特集 2023年01月19日)
役柄について、松本城、松本市についてかなりつっこんだインタビューになっていて、とても読み応えがあります。松重さんの松本城への思い、松本愛は相当高いと見受けました。
では石川数正という武将はどんな人物だったのか。歴史雑誌での考察があります。
家康の「将来性」を信じ切れなかった石川数正
石川数正(いしかわかずまさ)は、徳川家康(とくがわいえやす)が今川家の人質であった頃から側近として仕えていたものの、豊臣秀吉(とよとみひでよし)によって篭絡(ろうらく)されて出奔(しゅっぽん)した経緯があることから、節操のない武将のイメージが強い・・・。
(歴史人/森岡健司 2023年2月10日)
ドラマではいまのところ、家康に付き従い忠義を尽くしていますが、いずれはその地位を捨て、主君を豊臣秀吉に鞍替えするようです。
そのことを知っている私たちは、ドラマを見ながら複雑な気持ちになります。しかし、後世の私たちは、当時の武将達の運命といくさの結末をすべて知っているため、ああすればよかったのになどと勝手に言い切ることができます。
豊臣家はいつまで栄華を誇れるのか。この先、徳川家はどうなるのか。戦国時代末期のあの時代に正確に先読みできた人はいなかったはずです。関ヶ原の戦いに臨んだ当事者達ですら、戦力は拮抗していて数年間は続く持久戦になると予想していたそうです。
まさか半日で終わるとは誰も思ってもおらず、もし予測できていたとしたらお家の命運をかけた参戦などひとりもしなかったでしょう。
松重豊さんが石川数正をどう演じるのか。家康をどんな顔をして裏切るのか。はなはだ興味は尽きません。そのひとつをとっても、今年の大河ドラマは見る価値がありそうですね。(水田享介)