筆者の個人的趣味で申し訳ありませんが、「浦沢直樹の漫勉neo」をときおり視聴しています。
2023年は2月3日金曜深夜、正確には2月4日の土曜日、午前1時から漫勉neoの新シリーズが始まります。その初回は「マンガの神様、手塚治虫」です。
漫画家・浦沢直樹が、手塚治虫のペン先に迫る!
日本を代表する漫画家・浦沢直樹さんが、漫画家たちの創作の秘密に迫る異色のドキュメンタリー「漫勉neo」。2014年に放送がスタートして以来、さまざまな反響を呼んでいる「漫勉」が、2月から新シリーズを放送します!
新シリーズ初回の2月4日(※2月3日金曜深夜)は、"漫画の神様"手塚治虫をピックアップ。BSプレミアムでは、2月17日(金)に、59分の特別版の放送も決定しました。
(NHK_PR 2023年1月31日)
この漫勉という番組は、いまも存命であったり活躍中の漫画家をその仕事場まで押しかけて、どんな環境でどんな風に漫画を描いているかを、しっかりとのぞき見します。そして浦沢直樹氏が漫画家本人にインタビューするという、マンガ密度の高い番組です。
今回はすでに亡くなっている手塚治虫ですが、本人不在のペン先にどうやって迫るのでしょうか。
ところで、手塚治虫のペン先を間近で見て、その技を盗んだ人物がいることを皆さんはご存じでしょうか。
しかも、漫画家ではない。
手塚君との思い出 末永 五郎
小生は昭和21年4月に大阪帝国大学医学専門部に入学...翌年、組織学の顕微鏡実習が始まった。スケッチを提出すると、どれも58点とか56点とかでやり直しである。隣の手塚君は常に80~90点で、一発合格であった。
実習の最中に、手塚君が何かで席を外している間に、こっそりそのまま真似てみたところ、あっさり合格。...彼にはのぞき見したことを正直に話し、以後、正式に許可をもらいスケッチを真似ることにした。
(日医ニュース 南から北から[福岡県 北九州市医報 第701号より] 2017年2月5日)
※思い出しながらイラスト(筆者作)
医師をこころざしながら、同時に漫画家としてプロを目指した医学生時代の手塚治虫。同級生が語る若き手塚治虫には、ぶれないこころを感じました。そして、何でもできそうな医学生にも苦手な学科があり、ズル(?)をしてなんとか合格できたという裏話には、妙に親近感を覚えます。
医者か、はたまた漫画家か。困難なバランスをとり続けた先に、「ブラック・ジャック」、「陽だまりの木」の名作が産み出されました。
医療マンガというジャンルを切り開いた手塚治虫には、できないことなどひとつもなかったのでしょう。(水田享介)