「ちょっと一服」に始まり、「ちょっと一杯」、「ひと昔」まで、数字を使わない言葉の時間表現は昔から使われてきました。ところがこの言葉の時間の長さは、世代によってかなり違っていることが最近の調査でわかりました。
時計メーカーのシチズン時計が調べたところ、現在、二十代半ばまでの世代(これをZ世代というらしい)は、「ちょっと一杯」を一時間程度と理解してるそうです。
今年の暮れに部下との親交を深めたいあなたが、ちょっと一杯やろうかと若手社員を誘うことがあるかと思います。「ちょっと一杯」と言った以上、ビールをグラス1、2杯呑んで、小一時間で帰られても文句は言えませんね。
Z世代の時間感覚 「ちょっと一杯」は「1時間」、一服するは?
シチズン時計は働くZ世代を対象に「時間感覚についてアンケート」を実施した。勤め帰りの「ちょっと一杯」は、どのくらいの時間を指すのか。
[ITmedia/季原ゆう 2022年12月10日]
そのほかの時間としては以下の通りです。
●「一服する」・・・10分
●「すぐ処理します」・・・30分以内
●「さくっと(終わらせます)」・・・30分以内
●「ちょっと打ち合わせ」・・・30分以内
●「じっくり打ち合わせ」・・・1時間
こうしてみると、Z世代という人々は一時間以上の労働や拘束を避けたい傾向があるようです。
さらに、驚くべき結果も見つかっています。一昔(ひとむかし)という言葉からイメージする年数をたずねたところ、意外な答えがかえってきたのです。
Z世代、一昔は5~6年前 働く若者の時間感覚調査
Z世代と呼ばれる18~26歳の男女各200人を対象にした時間感覚に関する調査では、4割近くが四字熟語にある「十年一昔」の半分程度の年数を昔と感じている・・・
(中日新聞 2022年11月28日)
「十年一昔」という熟語があるためか、「十年」と答えたのは34%と最多でした。しかし、「5年」は29.8%、「6年」は7.5%、「3年」は6.5%と、合計43.8%もの若者が「一昔」は5~6年程度で十分ととらえていたのです。
「ひとむかし」という言葉からイメージする平均年数は、わずか「6.5年」。40代以上の皆さんなら5,6年前の事を「少し前」、「数年前」と言ってしまうことでしょう。
「ひとむかし前はスマホなんてなかったよね」などと若者に問いかけてみてください。きっと「えっ、ありましたよ」と驚かれることでしょう。
iPhone登場は15年前の2007年です。スマホのなかった時代は、ふた昔ではきかないほど大昔の話になりました。
たぶん若者言葉で言うと
「むか~しむか~し、ある国には、スマホがなかった時代があったそうな・・・」
となるでしょう。
思った以上に違っていた若者の時間感覚。これからはあいまいな時間表現は止めて、きっちりと数字で伝達する必要がありますね。(水田享介)