先月、10月27日、実業家イーロン・マスク氏は米ツィッター社の買収を完了しました。
その後の動きは速く、ツィッター社CEOをはじめ取締役全員を解任。併せて全従業員7500人の半数を一斉に解雇しました。11月8日には上場も廃止。
これでマスク氏は株主など第三者の意見に左右されず、ツィッター社を意のままに動かせる唯一の人物となったのです。
これまで収益をネット広告に頼ってきた体質を改め、認証済みバッジの有料化、Twitterそのものの有料化を検討しているそうです。
また、有料DMや有料動画機能の実装を計画中。将来的にはネット通販も視野に入れているとのこと。
以下の記事では、ツィッターが米政治に悪影響を及ぼしていると考えたマスク氏が買収に動いたとしています。
ツイッターはどこへ行く?マスク氏の"青い鳥"改革の行方は
「ツイッターの運営方法に対する不満が、買収の原動力になった」
(ロサンゼルス支局記者 山田奈々)
(NHK NEWSWEB 2022年11月7日)
「マスク氏はツイッターをどのような会社にしていきたいのか、発言には矛盾が多く含まれ、改革の行方はいまだ謎に包まれています。」(引用元同上)
はたしてマスク氏の改革は謎に包まれているでしょうか。筆者は週に数回つぶやく程度のツィッター利用者ですが、その改革はすでにタイムラインに現れています。
これまではツィッターを開くと、おせっかいなニュース解説ツィート、LGBT/気候変動/ワクチンを語る記者ツィートが必ずトップに出てきていました。マスク氏の買収以降は、それらはキレイに消えて、フォローしていた方のツィートがスムーズに表示されるように変わりました。
どうやら一部の新聞社や特定の言論人がツィッター社と契約していて、ツィート内容は事前に打ち合わせが行われ、最優先でタイムラインに流していたようです。
つまり、話題になったりアクセスが多いツィートは、意図的な演出に支えられた架空の人気だったようです。
また、漫画家やイラストレーターの中には、本人が知らないうちにさまざまな閲覧制限(シャドウバン)があったようですが、それも解除されました。
利用者が知らないうちに、ツィッターはさまざまな利用制限や演出を行っていた、その経緯が明らかになった今、マスク氏の改革への期待は高まるばかりです。
アメリカは中間選挙を終えて、2年後に大統領選を控えています。ツィッターをはじめ、SNSが選挙に及ぼす影響の大きさを考えると、何らかの改革、介入が必要な時期に来ていたのかもしれません。
Facebookにも改革の時期が来ているようです。筆者のタイムラインは広告やニュース記事ばかりで、知り合いの発言はほとんど見ることができなくなっています。先日数えてみたら、30ある発言のうち、友人のそれはたったの3つでした。
それでもFacebook運営会社のメタは、広告収入の悪化、経費増大、メタバースの不振などから、社員一万人超の削減を発表しました。
メタ、1.1万人削減を発表 全社員の13%
【シリコンバレー=奥平和行】米メタは9日、全社員の約13%に当たる1万1000人超を削減すると発表した。同社が大規模な人員削減を実施するのは2004年の会社設立後、初めてとなる。
(日本経済新聞 2022年11月9日)
広告収入に頼って急成長したSNS企業は、サービス課金や電子商取引、仮想通貨発行などで収益源の切り替えをはかったものの、思うように成功していません。
そして、利用者への基本サービスは悪化するばかり。これでは将来が危ぶまれます。
「テスラ」、「スペースX」という企業を育てあげたマスク氏の手腕ならば、いずれはツィッター社も優良企業として復活する日も近いことでしょう。
その日を楽しみにして、ときたまのツィートを続けていくことにしましょう。(水田享介)