一時期、とある通販サイト創業者が始めたことから一気に認知された「お金配りおじさん」。
何もせずにお金がもらえると、SNS でフォローしたり、個人情報を安易に渡す若者が続出しました。
実はその陰で、詐欺事件に巻き込まれる事案も多数発生しています。しかも被害者ではなく加害者の一員として。
ほとんどのお金配りおじさんは実在しません。ただの人集め、個人情報の収集が目的です。ただし本当のところは、振込詐欺の「受け子」集めが目的です。
今年になって筆者がみかけたSNSの書き込みで、その具体的な手口を知ることができました。
このツィートを解説した記事が、すぐに掲載されて注意を促しています。
SNSの「お金配りおじさん」に要注意。
知らないうちに振り込め詐欺の受け子にされている可能性
こういった「お金配ります」アカウントの犯罪行為として先日興味深い投稿が、Twitterでトレンドになりました。
...このような「お金配ります」アカウントの大半は詐欺目的で作られており、こういった情報に釣られやすいユーザーの個人情報を収集したり、仮想通貨等の投資詐欺の勧誘目的と言われています。
(Yahoo!ニュース/大元隆志 2022年9月20日)
被害に遭うのは若者とは限りません。高齢者も狙われています。
被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
SNSの「お金配り」に応募したら当選通知が届いた!?
(INTERNET Watch/DLIS・柳谷智宣 2022年10月7日)
【犯行手順の要約】
1.若者が「お金配りおじさん」に応募します。
2.当選しましたと連絡があり、個人情報や口座を教える。
3.口座にいきなり数百万円が振り込まれる。
4.誤送金だったと返金を求められ、全額を下ろして指定の場所に行くと...
5.振込金額を相手に渡す。謝礼として10万円ほどを受け取る。
6.後日、若者は受け子をした犯罪で逮捕される。真犯人は足取りを消して逃亡。
お金の流れとしては詐欺に遭った被害者が振り込む先が、応募した若者の口座になっています。
そうとは知らない若者は、想定外の大金が振り込まれたため返金に応じます。謝礼として渡された10万円は「お金配りおじさん」からの当選金だと若者は信じているので、犯罪とは気がつきません。
しかし、警察は口座番号から若者の個人情報を特定するため、すぐに逮捕となります。
本人の認識とは関係なく、受け子としての報酬を得ているため、犯罪の事実はもう変わりようがありません。
SNSは不特定多数の意見が飛び交い、見ているだけなら害はないのですが、ひとたびフォロー、いいね、返信などのアクションを起こすと、思わぬ犯罪に巻き込まれることがあります。(水田享介)