日本にいると忘れがちですが、ヨーロッパは戦時中です。
ロシアからのエネルギー供給が先細るヨーロッパでは、いち早くエネルギー危機への対策が始まっています。
今年の冬にヨーロッパ行きを計画中の方は、それなりの覚悟が必要でしょう。
海外旅行の楽しみのひとつ、食に関しても例外ではありません。
ノーベル賞科学者「パスタを茹でる時、沸騰したら火を止めていい」...
欧州エネルギー危機で。シェフたちは猛反発
イタリアでは、高価な光熱費を抑えるために、彼らの大好きなパスタをコンロの火を消して茹で、ガスの使用量を抑えている人もいるという。
(Business Insider Japan 2022年10月2日)
沸騰しないお湯で茹でたパスタ・・・。その味はいかがなものでしょう。
こう書いてるだけでは意味がありませんので、やってみました。
茹で時間4分の1.3ミリパスタを用意します。具材は袋のナポリタンのみ。
・1.3ミリパスタ、100グラム。インスタントの具材を用意。
・アルミ鍋に1リットルのお湯を沸かし、塩を入れます。
・パスタを投入。再沸騰したら蓋をして火を止めます。
・蓋をしたまま4分間待ち、皿に移して、具材を載せて完成。
ゆであがりは少し芯を感じましたが、食べ始めるまでの数分間に余熱が通ったようで、普通に食べられました。
ただ、ツルツルッとした食感や麺のコシはありません。まずいわけではありませんが、とくべつおいしいわけでもありません。
期待しないで食べると、普通に食べられるレベルです。
茹で時間4分の麺だからうまくできたのかもしれません。また、鍋に厚みのないアルミ鍋でも作れたので、分厚い鉄鍋や3層~5層のステンレス鍋など保温性の高い鍋なら、もっと太い麺でもうまく茹で上がるでしょう。
家庭料理なら許されるレベルですから、パスタだけでなく、ジャガイモ、にんじん、肉などの下ゆで、シチューなどの鍋料理も火を止めた余熱調理は普及していきそうです。
日本でもガス代や電気代が高騰していますので、こうした調理法を覚えておくのもいいですね。
ところが、ヨーロッパではさらに深刻度を増しています。室内の暖房は容赦なく削減され始めています。すでに、学校やホテル、公共施設の暖房は19度が標準のようです。
フランスの自治体が生徒にフリースのジャケットを支給...
エネルギー危機で暖房を制限
(フランスのペリエ)町では公共施設の暖房を摂氏19度以上にはしないことに決めたという。19度なら耐えられるかもしれないが、寒いという子どもたちのためにはフリースのジャケットが役に立つだろう...。
(Business Insider Japan 2022年10月11日)
このほか、ドライヤーなし、ぬるい水か冷水のシャワー、暖房の時間制限など、この冬からヨーロッパのホテル宿泊も寒稽古レベルになりそうです。
19度で寒ければ厚着をしなさい。その言葉から筆者は、時代劇のワンシーンを思い起こします。雪の日に暖房のない寺子屋の中で、子どもたちが綿入れ半纏姿で習字にいそしむ姿・・・。無いものは欲しがらずの精神が美徳だった時代がありました。
遠い昔に置いてきたはずの、1945年で終わったはずの「戦時中」という言葉を、こんなに身近に感じたのは初めてです。(水田享介)