ヨーロッパでは「Surimi(すりみ)」、アメリカのスシバーでは「Kani(かに)」と呼ばれる日本生まれの食品--それは「カニカマ」。
かにに素性を問われると下を向くほかないが、カニカマとしては立派な本物である。
そんな複雑な生い立ちのカニカマ--。食材偽装や産地偽装というと、消費者にはあまり評判のよろしくないイメージですが、カニカマは違います。
誕生の目的からしてコピー商品から始まり、発売後もにせものを貫き通したいさぎよい食品。それがカニカマです。
いまやスーパーの棚にゆるぎない地位を確保しており、カニカマの高級品はお刺身や魚介と並んで売られているそうです。
「偽物」と呼ばれて...築地で人気に火がついた 年5億本のヒット食品
見た目や食感がカニとそっくりで、しかも安い――かに風味のかまぼこ「カニカマ」が発売されてから、今年で50周年を迎えた。インスタントラーメン、レトルトカレーと並ぶ「戦後の食品三大発明・・・
(朝日新聞デジタル・小島弘之 2022年5月18日)
カニカマが「戦後の食品三大発明」のひとつに数えられていることは、上記の新聞記事で初めて知りました。
爆発的なヒットから定番商品化を迎えたカニカマですが、その誕生のきっかけはとある失敗から始まり、最初の評価もさんざんなものでした。
商品開発秘話 運命を変えた、奇跡の失敗作
当初は人工クラゲを開発していた
1970年、スギヨは新製品開発のための研究所で代替品の研究開発を開始。試行錯誤の末、アルギン酸、卵白、塩化カルシウムを使い、クラゲに近い食感を再現できた。だが、調味付けをすると食感がまったく違う別物になってしまった。
開発したかにあしを築地市場に持ち込んだときは、「刻んだ蒲鉾なんか売れない。」と、ほとんどの問屋が口をそろえて言った。しかし、・・・。
(スギヨ>商品開発秘話>カニカマ )
なぜか、マンガバージョンも・・・。
「カニカマ開発秘話漫画 KANIKAMA」
カニカマは海外にも進出済みで、どこの国でも高い評価を受けていることはご存じでしょうか。
海外では「Surimi(すり身)」と呼ばれ、日本語としては意外なほど的確な名前を頂戴し、日本国内とは比べものにないほど豊かなバリエーションが誕生しています。
パリでカニカマにはまる パスタやコロッケが絶品に!
・・・「THE 日本」らしい普段使いの食材はそう簡単には手に入らない。しかし、フランスで例外的に、日本のものとほぼ同じ状態で、かつ簡単に手に入る食材がある。それがきょうのテーマ「カニカマ」である。
・・・これはもう、本物のカニをこえているのではないか?とさえ思える出来だった。
(日経電子版/食の豆知識・ユイじょり 2021年10月31日掲出)
カニカマが本物のかにを越えているかどうかは定かでありませんが、パスタの主役にコロッケにと、縦横無尽の活躍です。
さすが、カニカマ消費量世界一の大国、フランスだけのことはあります。ちなみに、2015年のデータですが、日本での消費量は年間5万トン、世界では50万トン消費されているそうです。
(「旬レポ中国地域2015年1月号」[経済産業省 広報誌]より)
そんなカニカマ、産声を上げてから今年で50周年。カニカマを生み出した株式会社スギヨでは、一大キャンペーンを実施中です。
https://www.sugiyo.co.jp/special/kanikama_50th/
カニカマを食べて、本物のかにが当たるキャンペーンとは・・・。どこか矛盾しているようですが、それを楽しむのもいいかもしれませんね。(水田享介)
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株式会社スギヨ 公式サイト
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