マタタビといえば、猫が夢中になってにおいをかいだり、転がったり、ついには陶然とした表情で、ゴロにゃん状態になる不思議な現象が起こることはよく知られています。
この行動はマタタビ反応と呼ばれ、トラやライオン、ヒョウなどネコ科動物全般に見られるのですが、その理由はながらく謎のままで、ネコだから仕方がないねのひと言で片付けられてきました。
しかし、話はそう単純ではなかったのです。
解明!ネコのマタタビ反応
うっとりとした表情で、ゴロゴロと転がり、愛らしい姿を見せるネコ。山林に自生するつる性植物「マタタビ」を与えたときに見られる行動で、専門的には「マタタビ反応」と呼ばれます。この反応は何のために行われるのか、その理由が明らかになりました。
(NHK NEWS WEB/WEB特集 2022年7月14日)
"ネコにマタタビ"の謎解明 人間に役立つ活用も
マタタビといえば「猫にマタタビ」、ことわざのように使われますよね。実はなんでマタタビを好きなのか300年以上解明されていなかったんです。
(ANNnewsCH 2021年1月21日)
岩手大学農学部の宮崎雅雄教授の研究によると、ネコが反応するのは「ネペタラクトール」によるもので、この化学物質は蚊を寄せ付けない効果があるそうです。
人間と共生する前のネコの祖先は、藪や林の中で小動物を狩って生きていました。藪と言えば、ヤブ蚊。その蚊を寄せ付けないマタタビは、彼らが肌身離さず身にまとっておきたいものでした。マタタビを好んですりつける行動こそ、野生時代に培われたネコの本能と言うわけです。
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蚊を追い払うためにマタタビに夢中になるのは本能としても、果たして無防備におなかを見せて寝転がる必要はあるのでしょうか。ネコに聞いたところで、恍惚状態のネコは何も答えてくれそうにありません。
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「ネペタラクトール」の蚊よけ効果の発見は、人類に有意義な成果といわれています。人間の命を最も多く奪っている生物は蚊と言われるくらい、蚊が媒介する疫病はとても多いのです。この「ネペタラクトール」は人には無臭で燃やす必要もないので、まったく新しい蚊よけ装置の開発が期待されています。
The deadliest animal in the world
What would you say is the most dangerous animal on Earth? Sharks? Snakes? Humans? 〔By Bill Gates〕
(The Gates Notes 2014年4月25日)
しかし、ひとつだけ問題が・・・。
将来、マタタビ由来の蚊よけ装置が開発された場合、それを取り出すとどこからともなく大勢のネコちゃんが後をつけてくることになりそうです。ネコだけならまだしも、トラ、ヒョウ、ライオンなどなど・・・。果たして人類は、蚊とはまた違った危険を受け入れられるのでしょうか。(水田享介)