「秋刀魚」と書いて「サンマ」。秋に獲れ、その輝きといい形といい、刀そっくりなことからつけられた当て字だそうです。秋の味覚を代表するサンマは、脂ののった秋が旬の魚です。
しかし、これからはその常識は通用しなくなります。
不漁続くサンマ漁 通年操業を許可
サンマの不漁が続いていることから、水産庁は、今は一定の時期に限って認めているサンマ漁を1年を通じて認めることを決めました。
サンマ漁は、総トン数10トン以上の漁船で操業する場合には国が許可を出していて、現在はサンマが日本の近海に来る8月から12月に限って漁を認めています。
しかし、おととしの漁獲量が8万3000トンと、およそ50年ぶりの記録的な低水準になるなど、このところ不漁が続いていることから、業界団体が1年を通じて操業できるよう規制の緩和を求めていました。
これを踏まえて水産庁が検討を進めた結果、サンマの漁場が日本の沖合などに移っているとして、沖合などで漁をしやすいよう、通年での操業を認めることを7日の審議会で決めました。
(NHK NEWS WEB 2019年3月7日掲出)
漁業者としては、「ことしの5月から7月ごろに、日本の沖合や太平洋の公海での操業に取り組む方針」(前出記事より)ということです。
漁業は自然を相手にする仕事です。サンマの回遊ルートが変わり、これまでのように秋に日本沿岸に現れなくなったのならそれに従うほかありません。
今年からは取れたてのサンマが5月から冬まで、半年以上も鮮魚売り場に並ぶことになります。秋刀魚は必ずしも秋から出回るわけではなくなったのです。
5月に出てくる初物は「春刀魚」、真夏に店頭に並んだら「夏刀魚」と書くようになるのでしょうか。
江戸時代の俳人、山口素堂の句もこう変わるかもしれません。
「目には青葉 山ほととぎす 初春刀魚(はつさんま)」
いまひとつおいしそうに感じないのは筆者だけでしょうか。(水田享介)