日本ではほとんどのドライバーが、「横断歩道に人がいても一時停止をしない」という問題があります。
このことは筆者も日常的に体験している問題で、先日は信号のある横断歩道でしたが、青信号を渡る歩行者がクルマに轢かれそうになる場面を目撃しました。
日頃から信号無視の多い場所でしたから、筆者は青になってもひと呼吸おいて(信号無視のクルマをやり過ごして)から横断歩道を渡ることにしていました。おかげで巻き込まれずに済みましたが、少し悲しい習慣です。
しかし、これが東京都内の交通の実態であるため、わが身を守るにはこうするしかありません。
昨年、JAFがおこなった調査では、悲惨な実態が日本中で起きていることが明らかになりました。
「横断歩道でクルマが停まらない問題」どうすべきか? JAF調査結果、各地に波紋
JAFが発表した都道府県別「信号機のない横断歩道における車の一時停止率」の調査結果が、各地に波紋を投げかけています。なかには、一時停止率がたった0.9%とされた県も。これを機に、各地で対策が進んでいます。
同調査はJAFが2016年から毎年実施しており、2017年には一時停止率が最も高い長野県のみ、県名を公表して紹介していましたが、2018年の調査報告ではこれを全都道府県について公表したのです。
(乗りものニュース/編集部 2019年3月6日掲出)
今回のJAFの調査からは、一時停止率を県別に発表しています。その理由は高い違反率がいっこうに改善されないことにあります。
停止率がもっとも高かった県は長野県で56.8%。次いで静岡県の39.1%。石川(26.9%)、島根(26.5%)、鳥取(25.6%)、愛知(22.6%)と6県だけが20%を超えています。
全国平均は8.6%という低さ。栃木(0.9%)、広島(1.0%)、三重(1.4%)がワーストスリー。関西、四国、東北は軒並み10%以下となっています。
「2018年 信号機のない横断歩道における車の一時停止率(全国)」
(JAF・公式サイトより画像引用)
クルマに乗ってしまえば、最短距離を最高速でブレーキを踏まずに目的地にいって当然とドライバーは思ってはいないでしょうか。
道路事情がよくなり、クルマも故障知らずです。静かになめらかにさえぎるものなしに走るのがいまの常識でしょう。道路は自動車にかかる税金で作られているから、ドライバーがクルマを走らせて何が悪い、という考えでしょう。
一般道を常識外れのスピードで走るクルマは凶器を振り回しているようなものです。ブレーキを使わない乗用車は制御のきかない暴れ馬です。暴れ馬の正体はクルマではなく、運転しているドライバーなのです。
どんなにスピードの出るスポーツカーであっても速度を自慢するのは恥ずかしいものです。筆者が航空会社で担当していた航空機は時速850Kmは楽に出せます。
たまには情けで歩行者を渡らせてやってもいいという考えは大きな間違いであることをもう一度認識してください。
横断歩道で一時停止することは、マナーではなく守らなくてはいけない規則です。
日本では歩行者や自転車に乗る人の交通事故死者数は「人口10万人あたり2.0人」(国土交通省)となっており、この数字は先進7カ国の中では最悪の数字だそうです。(前出記事より引用)
日本に観光でやってくる外国人はこの現実を知りません。日本の横断歩道がこれほど危険なことを知らないため、交通事故に遭う外国人が増えてきているとニュースで知りました。犯罪の少ない日本でなぜこのような事態になっているのでしょうか。
ドライバーのみなさんはもう一度、交通ルールを学び直す必要がありそうです。(水田享介)
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■関連リンク
「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」
(JAF・公式サイト)