国の豊かさを示す指標のひとつにGDP(英:Gross Domestic Product)、国内総生産があります。
「GDPは国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額。"国内"のため、日本企業が海外支店等で生産したモノやサービスの付加価値は含まない。」
(内閣府 公式サイト「GDPとGNI(GNP)の違いについて」より)
国内で作られた製品やサービスの価値の合計額であるGDPは、その国の経済力を示しています。2010年に中国がGDPで日本を抜いて世界第二位になった時は、大きな話題になりました。
それが決してウソではなかったことは、数年後から始まった「爆買い」で証明されました。最新のGDP比では中国は日本の3倍近くになると予想されています。
上位は米中日の順...主要国のGDPの実情を確認する(2019年版)
(Yahoo!JAPANニュース/不破雷蔵 2019年1月5日掲出)
だからといって中国の人が3倍豊かな生活を送っているとは思えません。日本よりも豊かな国から、なぜ日本製のおむつや家電品、医薬品を争うように買い求め、果ては肺まで洗って(シーフェイ:洗肺)帰って行くのでしょうか。
GDPは市場経済で取引される生産しかカウントせず、家庭内労働やボランティア活動は含まれていないそうです。
取引される金額の大きさだけでは、その国の成熟度、幸福度ははかれないと言うことでしょうか。
※江戸時代、日本の基軸通貨は金でも銀でもなくお米でした
GDPだけでその国の価値を計って良いのか。新しく生まれた各種サービスの付加価値を計測することで、これまで見えていなかった生活の豊かさを数値化する試みが始まっています。
LINEの利用価値300万円? GDPに表れぬ豊かさ
Neo economy 進化する経済(3)
「いくらもらえたらLINEを1年間やめますか」。2018年春の卒業論文をまとめるため、金堂茉倫さんは東大在学中、約1200人に質問をぶつけた。日本だけで7900万人(18年末)に上る利用者に無料でメッセージのやりとりや通話を提供するLINE。値段のないサービスをお金に換算したらいくらになるのか知りたかった。
(日本経済新聞電子版 2019年2月27日掲出)
「Neo economy 進化する経済」(日本経済新聞電子版)では、すでに連載三回目を迎えています。過去の連載はこちらです。
Neo economy 進化する経済(1)
見えざる資産、成長の源に 有形資産の1.5倍
(日本経済新聞電子版 2019年2月25日掲出)
摩擦ゼロに備えはあるか Neo economy(2)
進化する経済 「ムダ」排除が生む低温経済
(日本経済新聞電子版 2019年2月26日掲出)
一説にはGDPは、「その国がどれだけの規模の戦争をできる(もしくはできた)のか」、それを知るために生まれたともいいます。
国の豊かさが個人の豊かさを表すわけではありませんから、そろそろGDPにかわるあたらしい計測方法が必要かもしれませんね。(水田享介)