電灯と言えば発明王エジソンが有名ですが、エジソンが電気の明かりを実用化する上で日本と深い関係があったことをご存じでしょうか。
エジソンと日本の意外な関係
スワンが発明した白熱電球のフィラメントは、紙を炭化させたもの。そのため非常に耐久時間が短く、発光時間が1分も持たないという唯一にして最大の欠点がありました。エジソンはその欠点を克服するべく、様々な素材を使い、実験を繰り返しました。
その中で、偶然手にした中国の竹を使った際に200時間という記録を打ち出しました。
竹という素材に目を付けたエジソンは、世界中の竹を集めて実験を行い、日本の首相や外務大臣にまで面会を求めます。そしてたどり着いたのが、京都にある八幡男山の岩清水八幡宮の境内に生えていた真竹でした。
日本の竹は、どの竹よりも長い1200時間を記録したのです。
(NTTファシリティーズ・電気案内板 2016年12月13日掲出)
イギリスの科学者ジョセフ・スワンは1860年、白熱電球を発明しますが、40時間の点灯に成功したのは1878年でした。そのわずか2年後の1880年、京都の竹を見いだしたエジソンは、1200時間点灯という大記録を打ち立てます。
一説には、2450時間も灯ったという話も残っています。この結果を受けて、エジソンは電灯事業会社を設立。のちのGE(General Electric)のもとになりました。
初期の電球の光源には、日本の竹が使われていたのです。日本の竹が世界中で明かりを提供していたとはちょっとうれしい話です。
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それも今は昔の話。2012年には国内のメーカーが市販用白熱電球の生産をやめたこともあり、家庭の明かりがすべてLEDに取って代わるのは時間の問題のようです。
LED照明が世間に知られるようになったのは飾り付けの電飾、いわゆるイルミネーションでした。電気消費量が大幅に少なく、電球のように割れる心配も無いとLED照明はいいことづくめの優等生としてデビューしました。
このLED照明には日本人が深く関わっています。赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏の三人がLEDの開発で2014年ノーベル物理学賞を受賞しました。中村修二氏が「高輝度青色LED」を開発したことで、ようやく赤、青、黄の三色が揃い、LEDだけでフルカラー表示が可能になったのは有名な話です。
いまでは生活に不可欠のLED照明ですが、その寿命に関して疑惑が持ち上がっています。
なぜLED電球の寿命はだんだん短くなっているのか?
LED電球が世の中に登場した初期のころは、パッケージの箱に「5万時間もの長寿命」「10万時間使用可能」などとうたわれていました。しかし、記事作成時点では販売されているLEDの多くが7500~2万5000時間程度の寿命となっています。
(Gigazine 2019年02月07日掲出)
LED照明には電球にはなかった基板が組み込まれており、そのひとつひとつのパーツの寿命が全体の寿命を決めているとは・・・わかってはいてもちょっと驚きですね。
たとえば耐熱温度が低い(つまり安価な)コンデンサを組み込めばそれだけ寿命は縮まることになります。
そしてLEDとていつまでも同じ明るさではなく、しだいに光量が落ちていくことも明らかになりました。
10万時間の長寿命、パッとすぐ灯く、チカチカ点滅しない、などのうたい文句ではなばなしく登場したはずのLED照明ですが、エジソンの時代の電球に劣らず弱点は多そうです。決して長寿命でもなかったわけですから、エジソンにはこう言われそうです。
「そこの若いのをどけて、京都産まれのワシの電球と交換してみてはどうかね。味わいのあるいい明かりだよ。」
(水田享介)