モバイルバッテリーというIT小物をご存じでしょうか。スマートフォンに接続すると内蔵バッテリーを充電する機能があり、スマホの駆動時間を引き延ばしてくれる優れものです。
※イメージ
一日中スマホを持ち歩く学生やサラリーマンには欠かせない必須アイテムですが、ときにとんでもない事故を引き起こしています。
たとえばこんな事例も。
[442]「あなた、カチカチ山ですよ!」 モバイルで現実化したカチカチ山事件
まだ残暑の残る9月初旬(注:2017年9月11日)、東京は山手線の車内。リュックを背負いつり革につかまるひとりの男子大学生が、ふと気がつきました。
大学生:「今日はいい天気。でもやけに背中が熱いなぁー」
電車の乗客:「あなた、カチカチ山ですよ!背中から煙が!」
大学生:「えっ。エエー!ホントだ。アチチ!」
※「ナカニシヤ日本一の画噺. カチカチヤマ」(明治44年刊)
「国立国会図書館デジタルコレクション」より
(当コラム 2017年09月13日掲出)
このカチカチ山事件からでしょうか。新幹線や航空機の中で、突然、火を噴いて交通に支障を来す事例が増えた気がします。
もちろん、すべてのモバイルバッテリーが危険という訳ではありません。問題を起こしているのは、安全性を考慮せずいいかげんに作られたバッテリーです。
こうした粗悪品は発火だけでなく、爆発という事故もめずらしくありません。バッテリーがだめになるだけでなく、接続しているスマホも破損することが多いので、バッテリーの安物買いは高価なスマホまで失うことになります。
不良品のモバイルバッテリーの危険性はこれだけではありません。放電中だけでなく充電中にも発熱・発火していることです。充電に時間のかかる大容量バッテリータイプは、寝ている間に充電を行うことが多いのですが、こうした使い方は大変危険です。もし就寝中に発火すると、発見が遅れて大きな火災となり生命の危険にまで及びます。
これまで規制がなく野放し状態だったモバイルバッテリーに、一定の安全基準が適用されることになりました。適用は2019年2月1日の今日から。PSEマークのないバッテリーは在庫を含めて一切販売できなくなります。
「モバイルバッテリーの規制対象化について」
●近年事故が多発しているモバイルバッテリーについて、平成30年2月1日付けの通達改正により、電気用品安全法の規制対象となりました。(経過措置期間:1年間)
●平成31年2月1日以降は、PSEマークの無いモバイルバッテリーは販売禁止(流通在庫を含む)となりますのでご注意ください。
(経済産業省)
※モバイルバッテリーのイメージ
PSEマークのないモバイルバッテリーを販売禁止にしたのは賢明です。ただし、すでに購入したものについては、PSEマークの有無にかかわらずこれからも使うことはできます。
とはいえ、安物買いで危険まで引き込むのは避けたいものですね。(水田享介)